水圧法を用いて腹腔鏡下に整復した閉鎖孔ヘルニアの1例

症例は92歳,女性。腸閉塞の診断で紹介入院となった。腹部CT検査で左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し,腹腔鏡手術を施行した。左閉鎖孔に嵌頓した小腸を認め,フォリーカテーテル®をヘルニア囊に挿入し,生理食塩水を注入する水圧法で整復した。嵌頓小腸に非可逆性の変化はみられなかったので,メッシュシートを用いてヘルニア修復術を施行した。術後の経過は良好で,12日目に退院となった。腹腔鏡手術の進歩に伴い,閉鎖孔ヘルニアの治療に対して腹腔鏡手術が選択される症例が増えてきている。今回腹腔鏡手術において,鉗子で腸管を過度に牽引することなく,水圧法を用いて安全に整復することができた。嵌頓腸管の解除法として,...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 4; pp. 739 - 744
Main Authors 盧, 尚志, 坂本, 一博, 神山, 博彦, 高橋, 玄, 呉, 一眞, 杉本, 起一, 小島, 豊, 柳沼, 行宏, 五藤, 倫敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.739

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Summary:症例は92歳,女性。腸閉塞の診断で紹介入院となった。腹部CT検査で左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し,腹腔鏡手術を施行した。左閉鎖孔に嵌頓した小腸を認め,フォリーカテーテル®をヘルニア囊に挿入し,生理食塩水を注入する水圧法で整復した。嵌頓小腸に非可逆性の変化はみられなかったので,メッシュシートを用いてヘルニア修復術を施行した。術後の経過は良好で,12日目に退院となった。腹腔鏡手術の進歩に伴い,閉鎖孔ヘルニアの治療に対して腹腔鏡手術が選択される症例が増えてきている。今回腹腔鏡手術において,鉗子で腸管を過度に牽引することなく,水圧法を用いて安全に整復することができた。嵌頓腸管の解除法として,水圧法はまず試みるべき整復法であると考えられた。また,ヘルニア門の修復方法は,腹腔内の汚染の有無を確認して慎重に判断するべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.739