後藤論文に対するEditorial Comment

後藤論文は, シロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent;SES)を用いた右冠動脈への経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention;PCI)の直後に非ステント部位に攣縮が生じ, 種々の薬剤に対して抵抗性を示した症例の報告である. PCIに伴い, 治療部位以外の標的血管に攣縮が生じることは日常臨床でも時々みられる現象であり, バルーン拡張のみの時代から症例報告や臨床研究論文がいくつも発表されてきた. 攣縮の誘因としては, ガイディング・カテーテル, ガイドワイヤー, 血管内超音波カテーテル(特に回転式), バルーン拡張,...

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Published inShinzo Vol. 41; no. 3; pp. 332 - 333
Main Author 小宮山, 伸之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.332

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Summary:後藤論文は, シロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent;SES)を用いた右冠動脈への経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention;PCI)の直後に非ステント部位に攣縮が生じ, 種々の薬剤に対して抵抗性を示した症例の報告である. PCIに伴い, 治療部位以外の標的血管に攣縮が生じることは日常臨床でも時々みられる現象であり, バルーン拡張のみの時代から症例報告や臨床研究論文がいくつも発表されてきた. 攣縮の誘因としては, ガイディング・カテーテル, ガイドワイヤー, 血管内超音波カテーテル(特に回転式), バルーン拡張, ステント拡張などが経験されるところであり, いずれも冠動脈壁への機械的刺激が主な原因であると思われる. われわれも左回旋枝にベアメタルステントを挿入し, 高圧拡張した後に血管内超音波法で良好な拡張を確認してガイドワイヤーを抜去したところ, 治療血管に強烈な攣縮が生じ, ショック状態となり, ノルアドレナリンの静注とニトログリセリンの冠動脈内注入で攣縮は解除されたが, ステントの一部が攣縮で押しつぶされてしまった症例を経験した1).
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.332