結腸腸重積で発症した腸アニサキス症の1例

症例は49歳,男性。突然発症した強い腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。当院搬送時は,バイタルサインは安定していたが,腹部板状硬,上腹部中心に腹部全体に強い圧痛と筋性防御を認めた。同日施行した腹部CTで横行結腸に腸重積の所見を認め,先進部は上行結腸が疑われた。腹部所見からはこの時点での消化管穿孔の可能性も否定できず,また,非観血的な整復術も考慮されたが,整復術による穿孔部の悪化も危惧され,緊急手術とした。術中所見では腹腔内に漿液性の腹水を少量認め,上行結腸に強い浮腫状変化を認め,腫瘤状であった。開腹時に重積は解除されていたが,腫瘤は極めて硬く,周囲リンパ節も腫大しており悪性疾患の存在が否定できず...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 3; pp. 303 - 305
Main Authors 宇田, 裕聡, 野嵜, 悠太郎, 永田, 二郎, 上原, 有貴, 村井, 俊文, 中村, 俊介, 篠塚, 高宏, 阪井, 満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.303

Cover

More Information
Summary:症例は49歳,男性。突然発症した強い腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。当院搬送時は,バイタルサインは安定していたが,腹部板状硬,上腹部中心に腹部全体に強い圧痛と筋性防御を認めた。同日施行した腹部CTで横行結腸に腸重積の所見を認め,先進部は上行結腸が疑われた。腹部所見からはこの時点での消化管穿孔の可能性も否定できず,また,非観血的な整復術も考慮されたが,整復術による穿孔部の悪化も危惧され,緊急手術とした。術中所見では腹腔内に漿液性の腹水を少量認め,上行結腸に強い浮腫状変化を認め,腫瘤状であった。開腹時に重積は解除されていたが,腫瘤は極めて硬く,周囲リンパ節も腫大しており悪性疾患の存在が否定できず,術中の循環動態は安定していたことからリンパ節郭清を伴う右半結腸切除術を行う方針とした。右半結腸切除術,D3郭清を施行した。摘出標本では,上行結腸粘膜に高度の浮腫を認め,2cm大の白色線状の虫体が検出された。病理組織学的検査で,腸アニサキス症による結腸腸重積症と診断された。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.303