盲腸憩室出血TAE後に腸管虚血のため腹腔鏡補助下手術を施行した1例

症例は75歳男性。大量下血を主訴に当院に搬送された。来院時はshock vitalで内視鏡検査は困難であり,腹部造影CT検査を施行した。盲腸に造影剤の漏出を認めたため消化管出血と診断し,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行した。回結腸動脈のextravasationに対し複数回のTAEを施行し止血を得られたが,翌日に腹膜刺激症状を認めた。TAE後の限局性腹膜炎と診断し,緊急で腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した。術後経過は良好で第8病日に退院となった。その後,約2年経過するが再出血は認めていない。近年,消化管出血に対してTAEが選択される症例も多...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 3; pp. 609 - 612
Main Authors 内藤, 正規, 中村, 隆俊, 樋口, 格, 萩原, 千恵, ウッドハムス, 玲子, 山梨, 高広, 渡邊, 昌彦, 甲斐田, 武志, 佐藤, 武郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.609

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Summary:症例は75歳男性。大量下血を主訴に当院に搬送された。来院時はshock vitalで内視鏡検査は困難であり,腹部造影CT検査を施行した。盲腸に造影剤の漏出を認めたため消化管出血と診断し,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行した。回結腸動脈のextravasationに対し複数回のTAEを施行し止血を得られたが,翌日に腹膜刺激症状を認めた。TAE後の限局性腹膜炎と診断し,緊急で腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した。術後経過は良好で第8病日に退院となった。その後,約2年経過するが再出血は認めていない。近年,消化管出血に対してTAEが選択される症例も多いが,再出血のみではなく虚血性腸炎に伴う腸管壊死などの短期の術後合併症に対する認識が重要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.609