特発性上腸間膜静脈血栓症による小腸壊死の1例

症例は53歳男性。1週間前より上腹部の違和感を自覚していたが,急激に痛みが増悪したため当院へ救急搬送された。腹部所見では臍上部右側に筋性防御を伴う圧痛を認めるとともに,腹部CTでは同部位に一致した壁肥厚を伴う小腸と上腸間膜静脈内に血栓を認めた。上腸間膜静脈血栓症および小腸壊死の診断で緊急手術を施行した。術中所見では小腸は約70cmにわたり壊死していたため部分切除術を行った。壊死腸管周囲の腸間膜を切開すると血栓の形成が確認できた。腸間膜のうっ血所見は限局していたため血栓除去は施行していない。血液凝固異常をきたす原因疾患は認められず,特発性上腸間膜静脈血栓症およびそれに伴う小腸壊死と診断した。術後...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 4; pp. 599 - 602
Main Authors 深野, 敬之, 篠塚, 望, 淺野, 彩, 大原, 泰宏, 淺野, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.599

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Summary:症例は53歳男性。1週間前より上腹部の違和感を自覚していたが,急激に痛みが増悪したため当院へ救急搬送された。腹部所見では臍上部右側に筋性防御を伴う圧痛を認めるとともに,腹部CTでは同部位に一致した壁肥厚を伴う小腸と上腸間膜静脈内に血栓を認めた。上腸間膜静脈血栓症および小腸壊死の診断で緊急手術を施行した。術中所見では小腸は約70cmにわたり壊死していたため部分切除術を行った。壊死腸管周囲の腸間膜を切開すると血栓の形成が確認できた。腸間膜のうっ血所見は限局していたため血栓除去は施行していない。血液凝固異常をきたす原因疾患は認められず,特発性上腸間膜静脈血栓症およびそれに伴う小腸壊死と診断した。術後ワーファリンによる抗凝固療法を開始し,現在再発なく経過観察中である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.599