腸閉塞で発見された多発狭窄病変を呈する小腸悪性リンパ腫の1例

症例は83歳,女性。3年前に胆囊結石症に対して胆囊摘出術を受けている。腹部膨満,嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部CT検査で腸閉塞と診断され入院となった。保存的治療で症状は改善したが,経口摂取を開始した後に腸閉塞症状が再燃した。画像所見では,小腸に複数の造影効果を伴う壁肥厚と,腸間膜リンパ節の腫大を認めた。腸閉塞の診断で手術を施行すると,小腸間膜に腫大するリンパ節を触知し,小腸には腫大したリンパ節による内腔狭窄を4ヵ所認め,小腸部分切除術を施行した。病理組織検査の結果,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した。術後,他院でR-CHOP療法を施行中である。小腸悪性リンパ腫は日常臨床でしばしば経験...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 3; pp. 579 - 583
Main Authors 坂本, 一博, 伊藤, 慎吾, 小島, 豊, 五藤, 倫敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.579

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Summary:症例は83歳,女性。3年前に胆囊結石症に対して胆囊摘出術を受けている。腹部膨満,嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部CT検査で腸閉塞と診断され入院となった。保存的治療で症状は改善したが,経口摂取を開始した後に腸閉塞症状が再燃した。画像所見では,小腸に複数の造影効果を伴う壁肥厚と,腸間膜リンパ節の腫大を認めた。腸閉塞の診断で手術を施行すると,小腸間膜に腫大するリンパ節を触知し,小腸には腫大したリンパ節による内腔狭窄を4ヵ所認め,小腸部分切除術を施行した。病理組織検査の結果,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した。術後,他院でR-CHOP療法を施行中である。小腸悪性リンパ腫は日常臨床でしばしば経験するが,病変が多発し狭窄を呈する症例は比較的まれである。開腹歴のある腸閉塞症例においても,繰り返す腸閉塞,原因が特定されない症例については,本症を疑い早急な外科的治療を考慮することが肝要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.579