食道破裂に対する内視鏡治療の可能性

食道破裂に対する治療法に関するコンセンサスは得られていない。手術不能症例は保存的加療が行われるが,治療過程で食道難治性瘻孔となることが多い。難治性瘻孔の治療として生体接着剤を用いた瘻孔充填術の報告が散見される。私達は食道破裂後瘻孔に対するalpha-cyanoacrylate monomer(A-CA)を用いた内視鏡下瘻孔閉鎖術を行い良好な結果を得ている。具体的には透視下内視鏡的に瘻孔内にリピオドール1.7mLとA-CA 0.3mLを混合した塞栓剤を注入する手技である。これまで交通外傷後の食道穿孔1例,食道癌術後の食道瘻孔2例,食道切除後の再建結腸胸腔内穿破1例に本内視鏡治療を行い,全例治癒し...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 1; pp. 079 - 084
Main Authors 尾島, 敏康, 中森, 幹人, 勝田, 将裕, 早田, 啓治, 山上, 裕機, 中村, 公紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.079

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Summary:食道破裂に対する治療法に関するコンセンサスは得られていない。手術不能症例は保存的加療が行われるが,治療過程で食道難治性瘻孔となることが多い。難治性瘻孔の治療として生体接着剤を用いた瘻孔充填術の報告が散見される。私達は食道破裂後瘻孔に対するalpha-cyanoacrylate monomer(A-CA)を用いた内視鏡下瘻孔閉鎖術を行い良好な結果を得ている。具体的には透視下内視鏡的に瘻孔内にリピオドール1.7mLとA-CA 0.3mLを混合した塞栓剤を注入する手技である。これまで交通外傷後の食道穿孔1例,食道癌術後の食道瘻孔2例,食道切除後の再建結腸胸腔内穿破1例に本内視鏡治療を行い,全例治癒している。本内視鏡治療は低侵襲の面で推奨される治療法である。しかし,このような内視鏡治療の適応規準や内視鏡治療の限界は明らかにされておらず,今後さらに症例を積み重ねて検証していく必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.079