腸重積にて緊急手術を行った回腸異所性膵の1例

回腸異所性膵による腸重積を発症したまれな症例を経験したので報告する。症例は,24歳女性で昼食後より心窩部痛,嘔吐が出現し,症状改善なく当院紹介搬送となった。来院時腹部正中に自発痛あり,CTにて腸重積の所見を認めたため,同日緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察すると発赤腫大した小腸を認めた。腹腔外へ小腸を誘導すると,20cmにわたる腸重積の所見を認めた。重積を解除すると,Treitz靭帯より300cm肛門側の小腸に3cm大の腫瘤を認め先進部となっていた。腸管虚血の所見なく,腫瘍部位の小腸切除を行い吻合した。術後経過良好で術後6日目自宅退院となった。病理組織検査にて腫瘤は異所性膵(Heinrich...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 3; pp. 629 - 632
Main Authors 定永, 倫明, 原武, 直紀, 野中, 謙太朗, 加藤, 誠也, 松浦, 弘, 上妻, 由佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.629

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Summary:回腸異所性膵による腸重積を発症したまれな症例を経験したので報告する。症例は,24歳女性で昼食後より心窩部痛,嘔吐が出現し,症状改善なく当院紹介搬送となった。来院時腹部正中に自発痛あり,CTにて腸重積の所見を認めたため,同日緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察すると発赤腫大した小腸を認めた。腹腔外へ小腸を誘導すると,20cmにわたる腸重積の所見を認めた。重積を解除すると,Treitz靭帯より300cm肛門側の小腸に3cm大の腫瘤を認め先進部となっていた。腸管虚血の所見なく,腫瘍部位の小腸切除を行い吻合した。術後経過良好で術後6日目自宅退院となった。病理組織検査にて腫瘤は異所性膵(Heinrich Ⅲ型)であった。回腸異所性膵による腸重積は比較的まれだが,成人腸重積は器質的疾患を念頭に,適切かつ迅速な診断,手術が重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.629