成人に発症した特発性大腸腸重積の1例

成人に発症した特発性大腸腸重積の1例を経験したので報告する。症例は31歳の男性。腹痛を主訴に当院を受診した。腹部造影CTで横行結腸にtarget signを認め,Douglas窩に少量の腹水を認めた。横行結腸腸重積の診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡観察では横行結腸の中央で大網を巻き込むように重積を認めたが,腹腔鏡下で整復することが困難であったため小開腹して重積を解除した。重積腸管に虚血や壊死は認めなかった。陥入部の横行結腸を切開したところ明らかな腫瘤性病変は認めず,浮腫状に肥厚した粘膜のみを認めたため,これを切除して終了とした。病理組織学的所見では炎症による変化のみで器質的病変は認めず,特発性...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 1; pp. 133 - 137
Main Authors 山崎, 公靖, 柴田, 英貴, 村上, 雅彦, 渡辺, 誠, 新谷, 隆, 大塚, 耕司, 藤森, 聡, 青木, 武士, 五藤, 哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.133

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Summary:成人に発症した特発性大腸腸重積の1例を経験したので報告する。症例は31歳の男性。腹痛を主訴に当院を受診した。腹部造影CTで横行結腸にtarget signを認め,Douglas窩に少量の腹水を認めた。横行結腸腸重積の診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡観察では横行結腸の中央で大網を巻き込むように重積を認めたが,腹腔鏡下で整復することが困難であったため小開腹して重積を解除した。重積腸管に虚血や壊死は認めなかった。陥入部の横行結腸を切開したところ明らかな腫瘤性病変は認めず,浮腫状に肥厚した粘膜のみを認めたため,これを切除して終了とした。病理組織学的所見では炎症による変化のみで器質的病変は認めず,特発性腸重積症と診断した。特発性腸重積症は非常にまれな疾患であり,中でも大腸・大腸型は本邦では3例目の報告となる。特発性腸重積症に対する腹腔鏡下手術を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.133