パノラマX線撮影の水平的X線入射方向に関する再検討

「緒言」 歯および歯周組織の観察に汎用される口内法X線撮影(以後, 口内法と略す)の利点は, 被写体と検出器を密着して撮影するため, 鮮鋭なX線像が得られることである. これと並んで, 正放線投影を行えば, 歯の隣接面や歯間部の歯槽骨頂を精密に描出できることも重要な利点と言える1. 一方, 撮影と画像処理に要する時間が長いこと, 口腔内にフィルムや検出器を挿入されることによる不快感を訴える患者が少なくないこと, 唾液による交叉感染のリスクがあることなどが欠点として挙げられる. 現在, 歯列の総覧的観察には, 口内法全顎撮影の他にパノラマX線撮影(以後, パノラマ撮影と略す)が用いられている2....

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Published in歯科放射線 Vol. 52; no. 1; pp. 9 - 14
Main Authors 横井, みどり, 内藤, 宗孝, 蛭川, 亜紀子, 有地, 榮一郎, 奥村, 信次, 松尾, 綾江, 後藤, 賢一, 勝又, 明敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 2012
日本歯科放射線学会
Subjects
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ISSN0389-9705
2185-6311
DOI10.11242/dentalradiology.52.9

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Summary:「緒言」 歯および歯周組織の観察に汎用される口内法X線撮影(以後, 口内法と略す)の利点は, 被写体と検出器を密着して撮影するため, 鮮鋭なX線像が得られることである. これと並んで, 正放線投影を行えば, 歯の隣接面や歯間部の歯槽骨頂を精密に描出できることも重要な利点と言える1. 一方, 撮影と画像処理に要する時間が長いこと, 口腔内にフィルムや検出器を挿入されることによる不快感を訴える患者が少なくないこと, 唾液による交叉感染のリスクがあることなどが欠点として挙げられる. 現在, 歯列の総覧的観察には, 口内法全顎撮影の他にパノラマX線撮影(以後, パノラマ撮影と略す)が用いられている2. パノラマ撮影は, 口内法全顎撮影と比較して, 被曝量3や検査(撮影)時間の面で有利であるが, 歯列に対して正放線でX線が入射されず, 臼歯の隣接面齲蝕を観察しにくい欠点が指摘されている4,5. 内藤(1990)6は, 歯列全域について回転パノラマ撮影の水平的入射角度を求め, Wainwright (1965)7が報告している口内法の水平的入射角度との比較を試みている.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology.52.9