閉塞性結腸癌に対して局所麻酔下大腸瘻造設を行い,遅延なく安全な二期的手術とし得た超高齢者2例

超高齢者2名の閉塞性左側横行結腸癌に対して,局所麻酔下大腸瘻造設術による減圧を行い,二期目手術を行うことができた。症例1は92歳女性,経肛門的イレウス管挿入が不成功となったため,開放性盲腸瘻を造設した。二期目手術では腹膜播種のため,盲腸瘻閉鎖術とバイパス術を行った。症例2は94歳女性で,全身状態を考慮して下部消化管内視鏡検査は行わなかった。チューブ横行結腸瘻を造設し,二期目手術では結腸部分切除術と吻合術を行った。2例とも水様便が貯留していたため,術中に減圧できた。減圧術中の嘔吐や誤嚥,術後のせん妄や誤嚥性肺炎などはみられず,遅延なく全身麻酔下で安全に二期目手術を行えた。二期目手術後,2例は食事...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 4; pp. 487 - 491
Main Authors 中村, 学, 石坂, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.487

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Summary:超高齢者2名の閉塞性左側横行結腸癌に対して,局所麻酔下大腸瘻造設術による減圧を行い,二期目手術を行うことができた。症例1は92歳女性,経肛門的イレウス管挿入が不成功となったため,開放性盲腸瘻を造設した。二期目手術では腹膜播種のため,盲腸瘻閉鎖術とバイパス術を行った。症例2は94歳女性で,全身状態を考慮して下部消化管内視鏡検査は行わなかった。チューブ横行結腸瘻を造設し,二期目手術では結腸部分切除術と吻合術を行った。2例とも水様便が貯留していたため,術中に減圧できた。減圧術中の嘔吐や誤嚥,術後のせん妄や誤嚥性肺炎などはみられず,遅延なく全身麻酔下で安全に二期目手術を行えた。二期目手術後,2例は食事摂取可能となり自宅介護となった。内科的減圧術不成功例やその処置に伴うリスクが高い超高齢者に対して,局所麻酔下大腸瘻造設術は,減圧手段の一つとして検討されるべき戦略と思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.487