膵管破綻をきたした感染性膵囊胞に対し,内視鏡的経鼻膵管チューブドレナージ後,手術を施行した1例

症例は55歳,男性。既往歴として慢性膵炎ならびに,27歳時に胃潰瘍の手術(広範囲胃切除術)があった。2013年6月中旬,嘔吐,下痢を主訴に受診,血液生化学検査ならびに腹部CT検査で慢性膵炎の急性増悪と,それに伴うDICと診断,集中治療を行った。第6病日に炎症所見の増悪をきたしたため,同日CT検査および内視鏡的膵管造影検査を施行したところ,感染性膵囊胞とそれに交通する主膵管の破綻を認めたため,経乳頭的に主膵管破綻部から囊胞内へ内視鏡的経鼻膵管ドレナージチューブを留置した。症状改善に伴いチューブを抜去したが,感染の再燃をきたしたため,チューブを囊胞内に再留置した後,待機的手術を施行した。術中所見で...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 3; pp. 279 - 284
Main Authors 田渕, 幹康, 松本, 卓也, 勝谷, 誠, 安, 炳九, 菅原, 安章, 小野, 成樹, 横山, 正, 高原, 秀典, 松川, 浩之, 三井, 康裕, 高尾, 雄二郎, 原, 重雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.279

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Summary:症例は55歳,男性。既往歴として慢性膵炎ならびに,27歳時に胃潰瘍の手術(広範囲胃切除術)があった。2013年6月中旬,嘔吐,下痢を主訴に受診,血液生化学検査ならびに腹部CT検査で慢性膵炎の急性増悪と,それに伴うDICと診断,集中治療を行った。第6病日に炎症所見の増悪をきたしたため,同日CT検査および内視鏡的膵管造影検査を施行したところ,感染性膵囊胞とそれに交通する主膵管の破綻を認めたため,経乳頭的に主膵管破綻部から囊胞内へ内視鏡的経鼻膵管ドレナージチューブを留置した。症状改善に伴いチューブを抜去したが,感染の再燃をきたしたため,チューブを囊胞内に再留置した後,待機的手術を施行した。術中所見では,囊胞腔は残胃の背側で,膵体部との間に存在し,同部は炎症により高度に癒着をきたしていたため,残胃全摘+膵体尾部切除を施行した。術後経過は良好で,術後19日目に退院した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.279