抗凝固療法中に胆囊穿孔をきたした出血性胆囊炎の1例

患者は83歳の男性で,胸痛を主訴に当院に救急搬送された。急性心筋梗塞による心原性ショックと診断され,心臓カテーテル治療を行い,抗凝固治療が開始となった。心臓カテーテル治療後第8日目に右季肋部痛が出現し,急性胆囊炎と診断した。保存的治療を行ったが心臓カテーテル治療後第11日目に血圧低下をきたし,高度炎症を認めた。CTで胆囊内および周囲に高吸収域を認め,出血性胆囊炎および穿孔と診断し,緊急手術を施行した。手術所見で胆囊周囲に血腫,胆囊体部に穿孔を認め,胆囊摘出術を行った。術後2日目に抗凝固療法を再開し術後23日目に退院となった。出血性胆囊炎は早期診断および治療にあたることが重要である。とくに抗凝固...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 5; pp. 729 - 733
Main Authors 内藤, 浩之, 桒田, 亜希, 平野, 利典, 海気, 勇気
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.729

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Summary:患者は83歳の男性で,胸痛を主訴に当院に救急搬送された。急性心筋梗塞による心原性ショックと診断され,心臓カテーテル治療を行い,抗凝固治療が開始となった。心臓カテーテル治療後第8日目に右季肋部痛が出現し,急性胆囊炎と診断した。保存的治療を行ったが心臓カテーテル治療後第11日目に血圧低下をきたし,高度炎症を認めた。CTで胆囊内および周囲に高吸収域を認め,出血性胆囊炎および穿孔と診断し,緊急手術を施行した。手術所見で胆囊周囲に血腫,胆囊体部に穿孔を認め,胆囊摘出術を行った。術後2日目に抗凝固療法を再開し術後23日目に退院となった。出血性胆囊炎は早期診断および治療にあたることが重要である。とくに抗凝固療法施行中の場合,出血のリスクが高く,適切な治療の選択が求められる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.729