非肝臓専門医へのデプスインタビューに基づく当院での「肝炎用診療情報提供書」運用による成果

全国的にB型肝炎患者の専門医への紹介率が低いことが課題である.我々は2017年2月から5月,個人の動機や思考のプロセスを探り出す手法・深層面接法(デプスインタビュー)で,非肝臓専門医に聞き取り調査を行なった.B型肝炎患者を紹介する医師は23名中14名(61%)で,内科系17名中13名(76%),外科系6名中1名(17%)と差がみられた(p=0.036).紹介しない理由に診療情報提供書を書く時間の不足・紹介方法の不識を,紹介率向上への工夫として診療情報提供書の簡素化・平易な診療予約制度をあげる医師が多かった.この結果から当院では同年8月,短時間で記載できる「肝炎用診療情報提供書」の運用を開始した...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 60; no. 7; pp. 219 - 228
Main Authors 松波, 加代子, 本田, 浩一, 野尻, 俊輔, 田中, 靖人, 藤原, 圭, 近藤, 泰輝, 是永, 匡紹, 的野, 智光, 井上, 淳, 松浦, 健太郎, 飯尾, 悦子, 榎本, 大, 井上, 貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.07.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.219

Cover

More Information
Summary:全国的にB型肝炎患者の専門医への紹介率が低いことが課題である.我々は2017年2月から5月,個人の動機や思考のプロセスを探り出す手法・深層面接法(デプスインタビュー)で,非肝臓専門医に聞き取り調査を行なった.B型肝炎患者を紹介する医師は23名中14名(61%)で,内科系17名中13名(76%),外科系6名中1名(17%)と差がみられた(p=0.036).紹介しない理由に診療情報提供書を書く時間の不足・紹介方法の不識を,紹介率向上への工夫として診療情報提供書の簡素化・平易な診療予約制度をあげる医師が多かった.この結果から当院では同年8月,短時間で記載できる「肝炎用診療情報提供書」の運用を開始した.導入後,B型肝炎に限らずC型肝炎・その他も含めた肝疾患全体の紹介患者数は前年比1.6倍に増加した.厚生労働省研究班で水平展開を試みており,データ蓄積からより効率的なシステムの構築が期待できる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.219