一都市の医療機関における職業感染防止対策のアンケート調査

熊本市内の医療機関における職業感染防止対策の実態を把握するために,2008年2月に,511の医療機関に対する質問紙調査を行った.解析は病院,有床診療所(医院),無床診療所(クリニック)に分けて行った. 206施設(40.3%)から回答があり,「感染制御の組織あり」は病院が93.6%,医院が58.9%,クリニックが8.4%であった.医療従事者に対する抗体検査の実施率で最も高かったのは病院規模に関わらずHBV抗体であった.一方,水痘は6.8%,風疹が8.7%,麻疹が10.2%,耳下腺炎が6.3%と実施率が低かったが,産科や小児科の実施率は高かった.また,ワクチン接種を推奨している施設で費用を施設が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本環境感染学会誌 Vol. 25; no. 4; pp. 229 - 236
Main Authors 家入, 裕子, 前田, ひとみ, 多田隈, 和子, 川口, 辰哉, 東, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.25.229

Cover

More Information
Summary:熊本市内の医療機関における職業感染防止対策の実態を把握するために,2008年2月に,511の医療機関に対する質問紙調査を行った.解析は病院,有床診療所(医院),無床診療所(クリニック)に分けて行った. 206施設(40.3%)から回答があり,「感染制御の組織あり」は病院が93.6%,医院が58.9%,クリニックが8.4%であった.医療従事者に対する抗体検査の実施率で最も高かったのは病院規模に関わらずHBV抗体であった.一方,水痘は6.8%,風疹が8.7%,麻疹が10.2%,耳下腺炎が6.3%と実施率が低かったが,産科や小児科の実施率は高かった.また,ワクチン接種を推奨している施設で費用を施設が負担していた割合は,施設規模が小さいほど高かった. 針刺し後の抗体検査の実施率は,クリニックが低かったが,組織的に介入をしている施設が多かった.しかし,針刺し予防対策としてリキャップ禁止は,医院とクリニックは6割と低かったことから,教育とともに低コストで安全な器具の開発が求められる. 施設の規模に関わらず,安全管理に対する意識が高い施設は,安全管理体制が整っていることがわかった.小規模施設では,感染症の専門家が少ないことから,地域での情報交換の場や相談システムの構築が求められる.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.25.229