腸管子宮内膜症による腸閉塞に対して腹腔鏡手術を施行した1例

子宮内膜症によって腸閉塞をきたすことはまれだが,病歴と所見から術前診断し,腹腔鏡手術で腸閉塞を解除できた1例を経験したため報告する。症例は38歳,女性。20歳から子宮内膜症と診断され,22歳で両側卵巣チョコレート囊胞摘出術後,37歳時に2度,月経周期に一致した腸閉塞を発症し以後内服治療をしていた。前回腸閉塞から約1年後に腹痛・嘔気のため当院救急外来を受診,再度腸閉塞と診断された。子宮内膜症に起因した腸閉塞と診断し入院10日目に腹腔鏡手術を施行した。術中所見では左卵巣のチョコレート囊胞に回腸が強固に癒着し,その近傍の回腸に腸管子宮内膜症を認めた。両者が腸閉塞の原因と考え,同部位を部分切除した。経...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 7; pp. 1009 - 1013
Main Authors 浅野, 聡子, 手島, 仁, 井上, 宰, 臼田, 昌広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.1009

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Summary:子宮内膜症によって腸閉塞をきたすことはまれだが,病歴と所見から術前診断し,腹腔鏡手術で腸閉塞を解除できた1例を経験したため報告する。症例は38歳,女性。20歳から子宮内膜症と診断され,22歳で両側卵巣チョコレート囊胞摘出術後,37歳時に2度,月経周期に一致した腸閉塞を発症し以後内服治療をしていた。前回腸閉塞から約1年後に腹痛・嘔気のため当院救急外来を受診,再度腸閉塞と診断された。子宮内膜症に起因した腸閉塞と診断し入院10日目に腹腔鏡手術を施行した。術中所見では左卵巣のチョコレート囊胞に回腸が強固に癒着し,その近傍の回腸に腸管子宮内膜症を認めた。両者が腸閉塞の原因と考え,同部位を部分切除した。経過は良好で,術後5日目に退院した。今後同疾患に対して腹腔鏡手術の適応が増加すると考えられるため,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.1009