小児の特発性動眼神経麻痺後における瞳孔・調節障害を客観的に観察できた1例

症例は10歳,女児.左眼の上眼瞼痛と複視を主訴とし,前医で左眼動眼神経麻痺と診断された.CT・MRI画像検査,血液・髄液検査で異常を認めず,ステロイドパルス療法にて治療効果は得られなかった.その後当院の神経眼科外来へセカンドオピニオン目的で受診した.当院初診時は,左眼の眼瞼下垂,眼球運動障害,調節障害,対光反射の減弱を認めた.眼瞼下垂,眼球運動障害は発症後2か月で完全回復を認め,調節障害は発症後25か月でほぼ改善を認めたが,対光反射の減弱は発症後25か月時点でも残存している.また,経過中に患眼の対光近見反射解離(light-near dissociation),瞳孔括約筋の分節的な麻痺を認め,...

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Published in神経眼科 Vol. 36; no. 3; pp. 340 - 345
Main Authors 原, 直人, 藤山, 由紀子, 新井田, 孝裕, 鈴木, 賢治, 佐藤, 司, 野上, 豪志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.09.2019
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.36.340

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Summary:症例は10歳,女児.左眼の上眼瞼痛と複視を主訴とし,前医で左眼動眼神経麻痺と診断された.CT・MRI画像検査,血液・髄液検査で異常を認めず,ステロイドパルス療法にて治療効果は得られなかった.その後当院の神経眼科外来へセカンドオピニオン目的で受診した.当院初診時は,左眼の眼瞼下垂,眼球運動障害,調節障害,対光反射の減弱を認めた.眼瞼下垂,眼球運動障害は発症後2か月で完全回復を認め,調節障害は発症後25か月でほぼ改善を認めたが,対光反射の減弱は発症後25か月時点でも残存している.また,経過中に患眼の対光近見反射解離(light-near dissociation),瞳孔括約筋の分節的な麻痺を認め,0.125%ピロカルピン塩酸塩を用いた点眼試験では瞳孔の脱神経性過敏を呈した.本症例の動眼神経麻痺後における瞳孔緊張症の責任病巣は,毛様体神経節より末梢の節後線維と推察された.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.36.340