ナツメの種子により小腸穿孔をきたした1例

症例は70歳女性。深夜に突然の腹痛を自覚して起床し,救急外来受診となった。身体所見では臍左側を最強点とする軽度の圧痛,反跳痛,筋性防御を認めた。CT検査では細かなfree airと小腸内に異物を疑う高吸収域を認め,また同部位より口側腸管の拡張も認めた。異物による消化管穿孔を疑い,同日緊急手術を施行した。術中所見では回腸末端より160cm口側の小腸に3cm大の鋭利な異物が穿破しており,異物による小腸穿孔および汎発性腹膜炎と診断した。異物を含み5cmの小腸部分切除術を施行した。術後問診によって5日前にナツメの甘露煮を食べた際に種子を誤飲していたことが判明した。術後経過は良好で術後8病日に退院された...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 7; pp. 1031 - 1033
Main Authors 藤田, 悠介, 多田, 正晴, 平田, 真章, 杉本, 敦史, 川崎, 有亮, 北條, 雄大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.1031

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Summary:症例は70歳女性。深夜に突然の腹痛を自覚して起床し,救急外来受診となった。身体所見では臍左側を最強点とする軽度の圧痛,反跳痛,筋性防御を認めた。CT検査では細かなfree airと小腸内に異物を疑う高吸収域を認め,また同部位より口側腸管の拡張も認めた。異物による消化管穿孔を疑い,同日緊急手術を施行した。術中所見では回腸末端より160cm口側の小腸に3cm大の鋭利な異物が穿破しており,異物による小腸穿孔および汎発性腹膜炎と診断した。異物を含み5cmの小腸部分切除術を施行した。術後問診によって5日前にナツメの甘露煮を食べた際に種子を誤飲していたことが判明した。術後経過は良好で術後8病日に退院された。植物種子による消化管穿孔は本邦において3例報告されるのみで非常にまれであり,ナツメの種子によるものは本邦初報告である。術前には異物誤飲を確認できておらず,詳細な問診が重要であると考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.1031