肝炎ウイルススクリーニング検査陽性患者に対する検査報告システムの構築による肝臓専門医受診率向上への取り組み

肝炎ウイルスのスクリーニング検査受検者への検査報告を徹底するため,検査陽性者の電子カルテ上に肝臓精査を勧める表示を自動表示するシステムを導入した.検査施行医が直接受検者に説明するか,施行医の了解のもと検査報告書を受検者へ郵送した.2013年4月からの1年間に検査陽性者は2179例(HCV抗体24.0%,HBs抗原17.7%,HBs抗体56.9%)だった.この取り組み開始当初,非肝臓専門診療科では担当医の認識も低く,結果を説明するまでの期間が3カ月以上のことが多かったが,最近はほとんどの患者が2カ月以内になっている.肝炎ウイルス陽性者への対応の必要性について医療者の認識も増している.また,HBV...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 4; pp. 137 - 143
Main Authors 下村, 泰之, 渡邊, 都貴子, 草野, 展周, 池田, 房雄, 合地, 明, 能祖, 一裕, 岩月, 啓氏, 山本, 和秀, 高木, 章乃夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.137

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Summary:肝炎ウイルスのスクリーニング検査受検者への検査報告を徹底するため,検査陽性者の電子カルテ上に肝臓精査を勧める表示を自動表示するシステムを導入した.検査施行医が直接受検者に説明するか,施行医の了解のもと検査報告書を受検者へ郵送した.2013年4月からの1年間に検査陽性者は2179例(HCV抗体24.0%,HBs抗原17.7%,HBs抗体56.9%)だった.この取り組み開始当初,非肝臓専門診療科では担当医の認識も低く,結果を説明するまでの期間が3カ月以上のことが多かったが,最近はほとんどの患者が2カ月以内になっている.肝炎ウイルス陽性者への対応の必要性について医療者の認識も増している.また,HBV再活性化のアラートとしても有用だった.HBs抗体陽性例の二次精査で肝硬変2例,肝がん1例を発見した.肝炎ウイルス検査陽性者への結果報告を徹底することは肝硬変や肝がんの予防や早期発見に有用である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.137