人間ドックにおける過去20年間のウイルス性肝炎の実態調査―肝炎ウイルス陽性者の医療機関未受診率の検討

1995年~2014年の間に当院総合健診センターにて人間ドックを受けたのべ176,979例を対象に,B・C型肝炎ウイルス陽性が指摘された受診者の医療機関受診状況を調査した.全年代での陽性率は,HBs抗原陽性者(B群)は1.45%,HCV抗体陽性者(C群)は0.96%であった.健常者群と比してB/C群でAST,ALT,ZTTが有意に高値,白血球,血小板,Alb,T-bilは有意に低値であった.B/C群における医療機関未受診率は,1995-1999年の期間で89.2/72.7%,2000-2004年が84.2/68.7%,2005-2009年が78.1/54.4%,2010-2014年が77.3/...

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Published in肝臓 Vol. 57; no. 5; pp. 213 - 219
Main Authors 大洞, 昭博, 小島, 孝雄, 濱口, 真英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2016
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.57.213

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Summary:1995年~2014年の間に当院総合健診センターにて人間ドックを受けたのべ176,979例を対象に,B・C型肝炎ウイルス陽性が指摘された受診者の医療機関受診状況を調査した.全年代での陽性率は,HBs抗原陽性者(B群)は1.45%,HCV抗体陽性者(C群)は0.96%であった.健常者群と比してB/C群でAST,ALT,ZTTが有意に高値,白血球,血小板,Alb,T-bilは有意に低値であった.B/C群における医療機関未受診率は,1995-1999年の期間で89.2/72.7%,2000-2004年が84.2/68.7%,2005-2009年が78.1/54.4%,2010-2014年が77.3/47.4%であった.年代が進むにつれてC群の未受診者の割合は有意に減少していたが,直近の2010-2014年の期間でも依然,未受診率は高かった.肝炎撲滅のためには,人間ドックのみで経過観察されているB・C型肝炎ウイルス陽性者に対して肝臓専門医への受診勧奨を促すさらなる取り組みが必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.57.213