頸動脈超音波検査でcarotid web部に血栓を認めた若年性脳梗塞の1例

「はじめに」 carotid web(CW)とは, 頸動脈洞または内頸動脈起始部後壁の血管内腔に突出する棚状構造物である. 塞栓源不明脳塞栓症の9.4~17%でCWを認めたと報告されており, 塞栓源になり得ると考えられている. しかし, その認知度は高いとはいえず, アテローム硬化あるいは塞栓源不明脳塞栓症として抗血小板薬で治療されることも多い. CWは内科的治療抵抗性であることが多く, 抗凝固薬を用いていたとしても再発することがある. 再発後に初めて外科的手術が実施されることも多いが, 外科手術の脳梗塞再発予防効果は極めて高いと報告されており, 時機を逸することなく外科治療を検討すべきと考え...

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Published inNeurosonology Vol. 36; no. 2; pp. 52 - 55
Main Authors 加治, 正知, 米原, 敏郎, 永沼, 雅基, 神尾, 多喜浩, 山本, 多美, 橋本, 洋一郎, 稲富, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経超音波学会 2023
日本脳神経超音波学会
Subjects
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ISSN0917-074X
DOI10.2301/neurosonology.36.52

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Summary:「はじめに」 carotid web(CW)とは, 頸動脈洞または内頸動脈起始部後壁の血管内腔に突出する棚状構造物である. 塞栓源不明脳塞栓症の9.4~17%でCWを認めたと報告されており, 塞栓源になり得ると考えられている. しかし, その認知度は高いとはいえず, アテローム硬化あるいは塞栓源不明脳塞栓症として抗血小板薬で治療されることも多い. CWは内科的治療抵抗性であることが多く, 抗凝固薬を用いていたとしても再発することがある. 再発後に初めて外科的手術が実施されることも多いが, 外科手術の脳梗塞再発予防効果は極めて高いと報告されており, 時機を逸することなく外科治療を検討すべきと考えられる. 今回われわれは, 脳梗塞発症初期には診断に至らず, 外来でのワルファリン内服加療中に頸動脈超音波検査でCW部に血栓が形成されたのを確認し, その後, 頸動脈内膜剥離術を実施するに至った若年性脳梗塞を経験したので報告する. 本論文発表に関しては, 患者の同意を得ている.
ISSN:0917-074X
DOI:10.2301/neurosonology.36.52