うっ血乳頭をきたしたCamurati-Engelmann病の1例

両眼のうっ血乳頭を合併したCamurati-Engelmann病(CED)の一例を経験したので報告する. 症例は33歳男性.初診時の矯正視力は右1.0,左1.2,眼圧14/14 mmHg,限界フリッカ値34/34 Hz,視野検査では両眼マリオット盲点の拡大と右眼下鼻側の感度低下を認めた.頭部MRIにて頭蓋骨皮質肥厚を認める他は,うっ血乳頭の原因となる異常を認めなかった.頭蓋内圧の除圧目的にアセタゾラミド内服を開始1年,矯正視力は両眼1.2と保たれていたが,一方で著明な視野障害を認めた.視神経乳頭腫脹の軽快は認めるものの,完全な消失には至っておらず,このままの状態では視機能の低下は防げないと判断...

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Published in神経眼科 Vol. 38; no. 4; pp. 387 - 393
Main Authors 庄司, 信行, 後関, 利明, 龍井, 苑子, 石川, 均, 大江, 阿子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.12.2021
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.38.387

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Summary:両眼のうっ血乳頭を合併したCamurati-Engelmann病(CED)の一例を経験したので報告する. 症例は33歳男性.初診時の矯正視力は右1.0,左1.2,眼圧14/14 mmHg,限界フリッカ値34/34 Hz,視野検査では両眼マリオット盲点の拡大と右眼下鼻側の感度低下を認めた.頭部MRIにて頭蓋骨皮質肥厚を認める他は,うっ血乳頭の原因となる異常を認めなかった.頭蓋内圧の除圧目的にアセタゾラミド内服を開始1年,矯正視力は両眼1.2と保たれていたが,一方で著明な視野障害を認めた.視神経乳頭腫脹の軽快は認めるものの,完全な消失には至っておらず,このままの状態では視機能の低下は防げないと判断し,外科的治療が可能な専門機関を紹介した.うっ血乳頭の鑑別には非常に稀ではあるがCEDのような骨形成異常疾患をあげる必要が示唆された.また,本症は進行性であり,今後視神経への直接的圧迫や血流障害が出現する可能性があり,保存的な治療でうっ血乳頭が改善しない際は,外科的治療を考慮すべきと考えた.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.38.387