独立成分分析を利用したVDT入力作業時の疲労の評価

現在まで、VDT作業者の疲労の程度を解析する方法を確立した研究はほとんどない。生体信号から疲労に関連する信号(以下、疲労関連信号)を抽出することは難しく、生体情報の変化を代用としている。もし、この信号を抽出できれば、疲労の程度も直接評価できる可能性がある。本研究の目的は,VDT入力作業中に計測した生体情報から、多変量解析の一つである独立成分分析(ICA: Independent Component Analysis)を用いて独立成分の信号を抽出し、回帰式にて疲労に関連することを確認する解析手法を提案することにある。まず、被験者のVDT作業中の主観的な疲労評価(自覚症しらべ)を基準に、疲労関連信...

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Published inITヘルスケア誌 Vol. 2; no. 2; pp. 66 - 79
Main Authors 森, 晃爾, 藤崎, 丈詞, 和田, 太, 岡崎, 浩子, 織田, 進, 八谷, 百合子, 大貝, 晴俊, 内田, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published ITヘルスケア学会 2008
Japan Association of Applied IT Healthcare
Subjects
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ISSN1881-4808
1881-4794
DOI10.11204/ithc.2.66

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Summary:現在まで、VDT作業者の疲労の程度を解析する方法を確立した研究はほとんどない。生体信号から疲労に関連する信号(以下、疲労関連信号)を抽出することは難しく、生体情報の変化を代用としている。もし、この信号を抽出できれば、疲労の程度も直接評価できる可能性がある。本研究の目的は,VDT入力作業中に計測した生体情報から、多変量解析の一つである独立成分分析(ICA: Independent Component Analysis)を用いて独立成分の信号を抽出し、回帰式にて疲労に関連することを確認する解析手法を提案することにある。まず、被験者のVDT作業中の主観的な疲労評価(自覚症しらべ)を基準に、疲労関連信号を抽出するための実験プロトコールを作成した。その実験プロトコールに従って、5名の被験者に対して、長時間のVDT作業負荷を行い、生体情報を計測した。疲労状況は、自覚症しらべで確認し、生体情報は、表面皮膚温度(前額部と鼻尖部)心拍数、前腕の皮膚血流量、呼吸数を測定した。生体情報は、移動平均処理の後、ICAを用いて独立成分抽出を行った。この独立成分は、回帰式にて疲労の蓄積と伴に増加することを確認した。本実験により、VDT入力作業中に計測した生体情報からICAにより抽出された独立成分は、疲労の指標となりうると可能性が示唆された。
ISSN:1881-4808
1881-4794
DOI:10.11204/ithc.2.66