胸部食道癌に対する各種頸部手縫い吻合 (胸骨後) と胸腔内上縦隔器械吻合後の術後障害の比較検討

本研究の目的は, 食道癌術後障害としての狭窄や嚥下障害を予防するために, 1991年12月から胸部食道癌に対して行ってきている胸腔内上縦隔器械吻合と, それまで行ってきた各種頸部手縫い吻合後の術後障害を比較検討し, 術式の評価をすることにある. 対象は頸部吻合としてGambee 1層吻合 (G1層法) 14例・層別2層結節吻合 (2層結節法) 17例・層別2層連続吻合 (2層連続法) 26例および胸腔内上縦隔器械吻合 (器械法) 26例の計83例である. 検討項目は (1) 経口摂取開始病日, (2) 縫合不全発症病日, (3) 縫合不全発生頻度, (4) 術後狭窄発生頻度および (5) 術後...

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Published in順天堂医学 Vol. 42; no. 1; pp. 65 - 71
Main Authors 巾, 尊宣, 矢吹, 清隆, 佐藤, 浩一, 前川, 武男, 坂本, 修一, 松本, 文夫, 渡部, 洋三, 津村, 秀憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 30.05.1996
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.42.65

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Summary:本研究の目的は, 食道癌術後障害としての狭窄や嚥下障害を予防するために, 1991年12月から胸部食道癌に対して行ってきている胸腔内上縦隔器械吻合と, それまで行ってきた各種頸部手縫い吻合後の術後障害を比較検討し, 術式の評価をすることにある. 対象は頸部吻合としてGambee 1層吻合 (G1層法) 14例・層別2層結節吻合 (2層結節法) 17例・層別2層連続吻合 (2層連続法) 26例および胸腔内上縦隔器械吻合 (器械法) 26例の計83例である. 検討項目は (1) 経口摂取開始病日, (2) 縫合不全発症病日, (3) 縫合不全発生頻度, (4) 術後狭窄発生頻度および (5) 術後嚥下障害発生頻度の5項目である. 食事開始時期は, 各種頸部吻合が2-3週間であるのに対し, 器械法は10日前後と有意に短かった. 縫合不全発症病日は, G1層法・2層結節法・2層連続法の順に長かった. 縫合不全発生頻度・術後狭窄発生頻度・術後嚥下障害発生頻度は, G1層・2層結節法・2層連続法および器械法の順に低率であった. 以上の成績より食道癌術後再建法としての器械吻合は, 術後障害の面から各種頸部手縫い吻合と比較検討し, 優れた術式であることが分かった.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.42.65