社会福祉施設における新型インフルエンザ対策とその効果

我々は,精神発達障害のある利用者が入所している3つの社会福祉施設の健康管理を行っている.これらの施設の職員に感染対策に関するアンケート調査を行った.さらに施設内での新型インフルエンザの流行を抑制するために以下の対策を行った.1) 職員に対するアンケート結果を基にした感染症の講義を行った.2) 新型インフルエンザ流行時の行動を示したマニュアルを作成した.3) 職員の家族の新型インフルエンザ発症時に3日間出勤停止とした.4) インフルエンザ発症時の治療の事前相談を行った.5) 濃厚接触者に対してオセルタミビル予防内服の適応を事前確認した.6) インフルエンザ診断キットによる検査を実施した.7) 診...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 26; no. 5; pp. 299 - 304
Main Authors 佐藤, 文哉, 堀, 誠治, 堀野, 哲也, 吉田, 正樹, 田村, 久美, 河野, 真二, 中澤, 靖, 小野寺, 昭一, 加藤, 哲朗, 保科, 斉生, 吉川, 晃司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2011
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ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.26.299

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Summary:我々は,精神発達障害のある利用者が入所している3つの社会福祉施設の健康管理を行っている.これらの施設の職員に感染対策に関するアンケート調査を行った.さらに施設内での新型インフルエンザの流行を抑制するために以下の対策を行った.1) 職員に対するアンケート結果を基にした感染症の講義を行った.2) 新型インフルエンザ流行時の行動を示したマニュアルを作成した.3) 職員の家族の新型インフルエンザ発症時に3日間出勤停止とした.4) インフルエンザ発症時の治療の事前相談を行った.5) 濃厚接触者に対してオセルタミビル予防内服の適応を事前確認した.6) インフルエンザ診断キットによる検査を実施した.7) 診断時の早期治療開始をした.8) 発熱者,同室者を個室管理とした.9) インフルエンザ診断時,濃厚接触者にオセルタミビルを予防内服とした.その結果は1事例を除き,1件の発生者数はオセルタミビルを予防内服していても,5名~11名であった.共同生活を営み,感染対策が十分でない状況下では,基礎再生産率はより高くなることが示された. 施設職員の感染症の基礎知識を調査し教育を行い,マニュアルを整備した.家族にインフルエンザの発症した場合の休職,さらには寮内で1人でもインフルエンザを発症した場合に,同じ寮の利用者には,オセルタミビルの予防内服をすることに決め,事前に家族に同意を取って準備を行った.新型インフルエンザが施設内に発生したことを想定し,事前に利用者の家族に同意を得て,担当医がオセルタミビルの予防内服の適応を検討した.これらの結果,感染源の施設内発生の予防,感染経路の遮断,迅速な予防内服の開始ができ,施設内感染の拡大が抑制できたものと思われた.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.26.299