潰瘍性大腸炎患者に発症したStreptococcus gallolyticus subsp. pasteurianusによる細菌性髄膜炎の1例
潰瘍性大腸炎と糖尿病罹患中の60歳女性にStreptococcus gallolyticus subsp. pasteurianusによる細菌性髄膜炎を発症した症例を経験した。以前から軽度の腹痛と血便を認めていた。入院前日から発熱と頭痛があり入院時の髄液検査で細胞数及び蛋白の著明な増加がみられ画像所見と合わせ細菌性髄膜炎と考えられ,ceftriaxone(CTRX),vancomycin(VCM)の投与が開始された。髄液培養で,Enterococcus spp.を疑うコロニーの発育がみられ,バイテック2(シスメックス・ビオメリュー)を用いてS. gallolyticus subsp. past...
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          | Published in | Japanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 3; pp. 297 - 301 | 
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| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
    
        2017
     日本臨床衛生検査技師会 Japanese Association of Medical Technologists  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0915-8669 2188-5346  | 
| DOI | 10.14932/jamt.15-110 | 
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| Summary: | 潰瘍性大腸炎と糖尿病罹患中の60歳女性にStreptococcus gallolyticus subsp. pasteurianusによる細菌性髄膜炎を発症した症例を経験した。以前から軽度の腹痛と血便を認めていた。入院前日から発熱と頭痛があり入院時の髄液検査で細胞数及び蛋白の著明な増加がみられ画像所見と合わせ細菌性髄膜炎と考えられ,ceftriaxone(CTRX),vancomycin(VCM)の投与が開始された。髄液培養で,Enterococcus spp.を疑うコロニーの発育がみられ,バイテック2(シスメックス・ビオメリュー)を用いてS. gallolyticus subsp. pasteurianusと同定し,薬剤感受性判明後に抗菌薬をbenzylpenicillin(PCG)単剤へと変更した。その後ampicillin(ABPC),CTRXへと抗菌薬を変更した。髄液所見は改善し,計18日間の抗菌薬投与によって軽快退院となった。本菌は腸管内の常在菌であり,基礎疾患に活動性の潰瘍性大腸炎があることから消化管が菌の侵入門戸と考えられた。また本菌のコロニー所見はEnterococcus spp.と酷似しLancefield分類もD群陽性になることから鑑別が困難である。さらに亜種により病態が異なるため,正確な菌種同定には生化学性状の確認や自動同定機器,遺伝子解析などが必須であると考える。 | 
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| ISSN: | 0915-8669 2188-5346  | 
| DOI: | 10.14932/jamt.15-110 |