過去20年間における肝膿瘍153例の臨床的検討

当院において過去20年間に経験した肝膿瘍153例の病原微生物,背景疾患,臨床経過に関して,後方視的に検討した.化膿性肝膿瘍ではアメーバ性肝膿瘍と比較し,糖尿病,悪性疾患,胆道系疾患が有意に高率であった.化膿性肝膿瘍の原因菌は,Klebsiella pneumoniae,Escherichia coliの順に多い.血液培養の検出率は44%であるのに対して,膿瘍培養の検出率は83%と高率であった.抗菌薬に抵抗性を有する原因菌の頻度は少なかった.アメーバ性肝膿瘍では,常用飲酒家が多いことが特徴であった.また感染経路不明の無症候性囊子保有者における免疫抑制療法中の発症があるため注意を要する.肝膿瘍は重...

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Published in肝臓 Vol. 59; no. 9; pp. 466 - 480
Main Authors 伊東, 文生, 池田, 裕喜, 末谷, 敬吾, 石井, 俊哉, 中原, 一有, 渡邊, 綱正, 辻, 顕介, 平石, 哲也, 服部, 伸洋, 國島, 広之, 森田, 亮, 中野, 弘康, 高橋, 秀明, 松本, 伸行, 松永, 光太郎, 五十嵐, 洋介, 鈴木, 通博, 路川, 陽介, 近江, 亮介, 森田, 望, 奥瀬, 千晃, 野口, 陽平, 鈴木, 達也, 重福, 隆太, 得平, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 20.09.2018
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.59.466

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Summary:当院において過去20年間に経験した肝膿瘍153例の病原微生物,背景疾患,臨床経過に関して,後方視的に検討した.化膿性肝膿瘍ではアメーバ性肝膿瘍と比較し,糖尿病,悪性疾患,胆道系疾患が有意に高率であった.化膿性肝膿瘍の原因菌は,Klebsiella pneumoniae,Escherichia coliの順に多い.血液培養の検出率は44%であるのに対して,膿瘍培養の検出率は83%と高率であった.抗菌薬に抵抗性を有する原因菌の頻度は少なかった.アメーバ性肝膿瘍では,常用飲酒家が多いことが特徴であった.また感染経路不明の無症候性囊子保有者における免疫抑制療法中の発症があるため注意を要する.肝膿瘍は重症化する例があるため,早期に膿瘍培養を行い,適切に治療することが重要である.中でも,悪性疾患や複数細菌の混合感染例,多臓器に膿瘍形成を有する症例では重症化することがあり留意すべきである.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.59.466