化学放射線同時併用療法後の唾液腺機能の検討

頭頸部癌に対し,化学放射線同時併用療法(以下CCRT)が広く行われるようになってきている.機能・器官・形態の温存の面から,手術的治療よりも患者のQOLを保つことが出来ると考えられているが,最近では治療後の合併症で日常生活に支障をきたし,必ずしも手術療法より患者のQOLが保たれているとはいいがたい面もある.これまでにわれわれは,CCRTによる治療を受けた患者に治療後の合併症についてアンケート調査を行い,治療後の口渇が患者のQOLを著しく低下させていることを報告している.今回対象を両側の大唾液腺への照射量が36GyのCCRTを行った20例(以下36Gy群)と,放射線単独(以下RT単独)治療を行った...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 79 - 83
Main Authors 五味渕, 寛, 嶋根, 俊和, 三邉, 武幸, 池田, 賢一郎, 小林, 斉, 卯月, 彩, 杉本, 茜, 秋山, 理央, 森, 智昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.02.2011
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma.71.79

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Summary:頭頸部癌に対し,化学放射線同時併用療法(以下CCRT)が広く行われるようになってきている.機能・器官・形態の温存の面から,手術的治療よりも患者のQOLを保つことが出来ると考えられているが,最近では治療後の合併症で日常生活に支障をきたし,必ずしも手術療法より患者のQOLが保たれているとはいいがたい面もある.これまでにわれわれは,CCRTによる治療を受けた患者に治療後の合併症についてアンケート調査を行い,治療後の口渇が患者のQOLを著しく低下させていることを報告している.今回対象を両側の大唾液腺への照射量が36GyのCCRTを行った20例(以下36Gy群)と,放射線単独(以下RT単独)治療を行った照射量が40Gyの15例とした.ガムテストを行った結果,36Gy群では,平均11.2ml,RT単独群では,平均6.0mlであった.検定の結果,36Gy群とRT単独群では唾液分泌量に有意差があるとはいえなかった.今回の検討では,放射線療法に化学療法を追加し同時に治療を行っても,治療後の唾液腺機能に影響を及ぼさない可能性が考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma.71.79