粘液産生を伴い急性閉塞性胆管炎を併発した胆嚢内乳頭状腫瘍の1例

症例は71歳,男性.主訴は背部痛,心窩部痛.前医CTで胆嚢腫大,胆嚢内に乳頭状に拡がる隆起性病変,乳頭から肝内胆管に及ぶ軽度の胆管拡張および胆嚢結石を指摘され紹介受診.入院精査の予定だったが,5日後に右背部痛が増悪し閉塞性黄疸の増悪,白血球数高値であり,急性胆管炎の診断で緊急入院となった.同日,内視鏡的逆行性胆管膵管造影を施行し,経鼻胆道ドレナージチューブを留置された.自然流出では多量の粘液によりチューブ閉塞をきたし,連日洗浄を行うことで減黄が得られた.胆嚢内に充満する乳頭状腫瘍と十二指腸乳頭からの粘液排出から胆嚢内乳頭状腫瘍(intracholecystic papillary neopla...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 12; pp. 2275 - 2282
Main Authors 中村, 萌衣, 髙橋, 道郎, 谷澤, 徹, 山本, 雅樹, 真栄城, 剛, 大道, 清彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.2275

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Summary:症例は71歳,男性.主訴は背部痛,心窩部痛.前医CTで胆嚢腫大,胆嚢内に乳頭状に拡がる隆起性病変,乳頭から肝内胆管に及ぶ軽度の胆管拡張および胆嚢結石を指摘され紹介受診.入院精査の予定だったが,5日後に右背部痛が増悪し閉塞性黄疸の増悪,白血球数高値であり,急性胆管炎の診断で緊急入院となった.同日,内視鏡的逆行性胆管膵管造影を施行し,経鼻胆道ドレナージチューブを留置された.自然流出では多量の粘液によりチューブ閉塞をきたし,連日洗浄を行うことで減黄が得られた.胆嚢内に充満する乳頭状腫瘍と十二指腸乳頭からの粘液排出から胆嚢内乳頭状腫瘍(intracholecystic papillary neoplasm:ICPN)が疑われ,開腹胆嚢摘出術の方針とした.術中超音波を用いて肝浸潤が無いことを確認し,全層胆摘を施行した.病理組織診断ではbiliary typeまたはoncocytic typeのICPNと考えられる所見であった.術前検査でICPNが疑われ経過中に粘液による閉塞性胆管炎を併発し,早期手術を要した1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.2275