病棟薬剤師による「抗菌薬 PK/PD チェックシート」を活用した抗菌薬適正使用への取り組み

広域抗菌薬,特にカルバペネム系抗菌薬の適正使用推進のため,感染制御専門薬剤師と各病棟薬剤師が協力をして,感染症治療症例に対する抗菌薬適性使用の取り組みを開始した. 2006年7月より,感染症治療目的にて抗菌薬が処方された症例に対して,病棟薬剤師は「抗菌薬PK/PDチェックシート」を用い,処方内容・起炎菌・MIC (Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)・腎機能等を確認し,必要があれば主治医に対して疑義照会・処方提案を行う取り組みを開始した. 取り組み開始前133例と開始後470例について,抗菌薬処方内容を比較検討した. 用法はペニシリン・セフェム系...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本環境感染学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 117 - 123
Main Authors 舟原, 宏子, 服部, 聖, 小笠原, 康雄, 後藤, 千栄, 大野, 公一, 播野, 俊江, 三田尾, 賢, 長崎, 信浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.23.117

Cover

More Information
Summary:広域抗菌薬,特にカルバペネム系抗菌薬の適正使用推進のため,感染制御専門薬剤師と各病棟薬剤師が協力をして,感染症治療症例に対する抗菌薬適性使用の取り組みを開始した. 2006年7月より,感染症治療目的にて抗菌薬が処方された症例に対して,病棟薬剤師は「抗菌薬PK/PDチェックシート」を用い,処方内容・起炎菌・MIC (Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)・腎機能等を確認し,必要があれば主治医に対して疑義照会・処方提案を行う取り組みを開始した. 取り組み開始前133例と開始後470例について,抗菌薬処方内容を比較検討した. 用法はペニシリン・セフェム系抗菌薬で一日二回投与が減少し(94.7%→75.8%),一日一回投与(3.5%→6.6%)と,一日三回投与(1.8%→17.2%)が増加した.カルバペネム系抗菌薬でも一日二回投与が減少し(94%→73%),一日一回投与(0%→4.9%)と,一日三回投与(6%→21.7%)が増加した. カルバペネム系抗菌薬の1日平均投与量は1日3回投与が増加したことにより,1.06 gから1.20 gへと増加したが,平均投与日数は6.76日から6.01日へと減少した. また,取り組み開始後に多剤耐性緑膿菌の検出頻度は有意に減少した. 病棟薬剤師が症例ごとに「抗菌薬PK/PDチェックシート」を用い,抗菌薬の使用状況を確認し,必要があれば主治医に提案を行う今回の活動は,抗菌薬適正使用に有効であることが判明した.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.23.117