急速に進行する下肢麻痺に対して硬膜切除術を行った肥厚性硬膜炎の一例

【はじめに】脊髄レベルに発症した肥厚性硬膜炎に対し,硬膜切除術を行い,良好な経過をたどった一例を経験したので報告する.【症例】75歳,女性.特に誘因なく腰痛を発症し,数日後に下肢脱力が進行し歩行不能となった.MRIでTh9-L1の硬膜背側から脊髄を圧排するT2強調像で低信号の病変があり,ガドリニウム造影MRIで均一な造影効果を認めた.急速に進行する下肢麻痺を認めることから,椎弓切除を行った.肉眼的に硬膜は肥厚しており,明らかな膿瘍や血腫の形成を認めなかった.術後1週で麻痺は改善傾向となった.硬膜の病理所見は炎症性変化が主体であり,明らかな腫瘍性疾患は否定的であった.最終的に膠原病内科でANCA...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 3; pp. 412 - 414
Main Authors 大田, 秀樹, 井口, 洋平, 吉村, 陽貴, 木田, 吉城, 竹光, 義治, 田原, 健一, 藤村, 省太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.412

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Summary:【はじめに】脊髄レベルに発症した肥厚性硬膜炎に対し,硬膜切除術を行い,良好な経過をたどった一例を経験したので報告する.【症例】75歳,女性.特に誘因なく腰痛を発症し,数日後に下肢脱力が進行し歩行不能となった.MRIでTh9-L1の硬膜背側から脊髄を圧排するT2強調像で低信号の病変があり,ガドリニウム造影MRIで均一な造影効果を認めた.急速に進行する下肢麻痺を認めることから,椎弓切除を行った.肉眼的に硬膜は肥厚しており,明らかな膿瘍や血腫の形成を認めなかった.術後1週で麻痺は改善傾向となった.硬膜の病理所見は炎症性変化が主体であり,明らかな腫瘍性疾患は否定的であった.最終的に膠原病内科でANCA関連血管炎に伴う肥厚性硬膜炎と診断された.ステロイド治療を開始し,さらに麻痺が改善した.【考察】ANCA関連血管炎に伴う肥厚性硬膜炎はステロイド加療が有効であるが,脊髄症状を認める場合は,優先的な外科的治療を検討すべきである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.412