A-17. 震災後の抗凝固療法としてのフォンダパリヌクスの使用経験
東日本大震災後の津波と原発事故により2011年4月初旬には新潟県内に1万人以上の福島県からの被災者が避難していた. 短時間に大勢の被災者を受け入れるため交通の不便な場所にも避難所を設けざるを得なかった. 被災者は津波による下肢外傷, 横になれないくらい大勢の被災者が避難していた津波被害地域から何度も福島県などの避難所を変えて来た人々(平均3回避難所を変えていた)が多い避難所ではDVTが多く見つかった. この中で大きな浮遊型血栓で, 且つPOCT (COBAS123)のDダイマー検査で2.0μg/mL以上の場合には抗凝固療法が必要と判断し, 近くに病院がある場合は紹介受診とした. しかしすぐに病...
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Published in | Shinzo Vol. 47; no. 7; p. 894 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2015
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.47.894 |
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Summary: | 東日本大震災後の津波と原発事故により2011年4月初旬には新潟県内に1万人以上の福島県からの被災者が避難していた. 短時間に大勢の被災者を受け入れるため交通の不便な場所にも避難所を設けざるを得なかった. 被災者は津波による下肢外傷, 横になれないくらい大勢の被災者が避難していた津波被害地域から何度も福島県などの避難所を変えて来た人々(平均3回避難所を変えていた)が多い避難所ではDVTが多く見つかった. この中で大きな浮遊型血栓で, 且つPOCT (COBAS123)のDダイマー検査で2.0μg/mL以上の場合には抗凝固療法が必要と判断し, 近くに病院がある場合は紹介受診とした. しかしすぐに病院に行けない事情がある場合において病院受診できるまでの期間はフォンダパリヌクス(Fpx)の皮下注射を行った. 南相馬市原町区, いわき市, 郡山市, 福島市, 山形市の避難所や車中泊を経て新潟県見附市の海の家に避難していた60歳女性でDVTとDダイマー上昇があったが, 病院受診できないためFpx皮下注射を3日間連日行ってから病院受診した. 南相馬市の小高区の厳しい避難所にいた42歳女性は三条市に避難していたが膝窩静脈までDVTを認めDダイマー6μであったことからFpxを皮下注射し翌日病院受診し, Fpx皮下注射しながらワルファリンへ切り替え6カ月後にDVT消失した. 小高区の88歳女性は津波地域の厳しい避難所で膀胱炎と肺炎となり新発田市月岡温泉に避難していたがエコー検査で浮遊型血栓とDダイマー上昇, 下肢腫脹あったことからFpxの皮下注射を3日間行い病院受診とした. 以上のように震災後のDVT治療において効果の発現が早く, 使用後短期間のモニタリングが不要であるFpxは有用であった. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.894 |