ニボルマブにて高度な免疫関連肝障害を生じた食道原発悪性黒色腫の1例
63歳女性,食欲不振を主訴に当科紹介受診した.精査の結果,食道原発悪性黒色腫・胃浸潤・リンパ節転移の診断で外科的に切除され,術後化学療法としてnivolumabを投与された.初回投与から2週間で高度な肝障害を発症し,入院した.ウイルス性肝炎や他の肝胆道系疾患を疑う所見はなく,肝生検から免疫関連有害事象による肝障害と診断した.中等量のprednisolone(PSL)内服(0.8 mg/kg)では治療効果が乏しく,第15病日にステロイドパルス療法(SPT:steroid pulse therapy)を行い,第25病日に肝酵素は低下に転じた.凝固機能も低下したが(PT%最低値:44%),経過中に顕...
Saved in:
Published in | 肝臓 Vol. 62; no. 10; pp. 630 - 638 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.10.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.62.630 |
Cover
Summary: | 63歳女性,食欲不振を主訴に当科紹介受診した.精査の結果,食道原発悪性黒色腫・胃浸潤・リンパ節転移の診断で外科的に切除され,術後化学療法としてnivolumabを投与された.初回投与から2週間で高度な肝障害を発症し,入院した.ウイルス性肝炎や他の肝胆道系疾患を疑う所見はなく,肝生検から免疫関連有害事象による肝障害と診断した.中等量のprednisolone(PSL)内服(0.8 mg/kg)では治療効果が乏しく,第15病日にステロイドパルス療法(SPT:steroid pulse therapy)を行い,第25病日に肝酵素は低下に転じた.凝固機能も低下したが(PT%最低値:44%),経過中に顕性黄疸の出現はなく,肝不全には至らずに回復した.免疫関連肝障害は,病態が解明されておらず,治療法も確立されていない.本例のような重篤な肝障害に進行した症例には,SPTも選択肢になり得ると考える. |
---|---|
ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.62.630 |