腸閉塞を呈した単純性潰瘍の1例
要旨:77歳,男性。腹痛で救急搬送された。腹部CTで回腸末端部に限局性の壁肥厚を認め,それより口側の拡張と肛門側の虚脱を認めた。イレウス管を挿入後,点滴加療を行い,腹部症状は軽快した。入院6日目にイレウス管造影を施行したところ,回腸末端部に限局性の内腔狭窄部位を認めた。造影剤の通過は良好であったため,イレウス管を抜去し,入院8日目から食事を開始した。しかし,腸閉塞の再発を認めたため,入院12日目に小腸切除術を施行した。回盲弁から約10cm口側の回腸狭窄部位を切除した。術後経過は良好で術後3日目より食事を開始し,術後9日目に退院した。切除標本では,単発,円形の深掘れ潰瘍と内腔狭窄を認めたが,病理...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 3; pp. 599 - 601 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.03.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.38.599 |
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Summary: | 要旨:77歳,男性。腹痛で救急搬送された。腹部CTで回腸末端部に限局性の壁肥厚を認め,それより口側の拡張と肛門側の虚脱を認めた。イレウス管を挿入後,点滴加療を行い,腹部症状は軽快した。入院6日目にイレウス管造影を施行したところ,回腸末端部に限局性の内腔狭窄部位を認めた。造影剤の通過は良好であったため,イレウス管を抜去し,入院8日目から食事を開始した。しかし,腸閉塞の再発を認めたため,入院12日目に小腸切除術を施行した。回盲弁から約10cm口側の回腸狭窄部位を切除した。術後経過は良好で術後3日目より食事を開始し,術後9日目に退院した。切除標本では,単発,円形の深掘れ潰瘍と内腔狭窄を認めたが,病理組織学的には特異的な所見は認めなかった。既往歴,服薬歴,臨床像から原因は不明であり,病理所見からも特異的所見は認めず,また,その肉眼像などの特徴から,単純性潰瘍に分類された。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.38.599 |