上行結腸の全周性狭窄をきたし癌との鑑別が困難であった腸結核の1例

症例は67歳の男性で,検診にて右肺の結節影を指摘され,当院呼吸器内科へ紹介となった.CTにて多発肺結節影,上行結腸の壁肥厚を認め,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸にスコープ通過不能の全周性狭窄を認めた.組織学的所見は伴わなかったが,多発肺転移を伴う上行結腸癌の診断で腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.病理結果ではLanghans巨細胞を交えた類上皮細胞肉芽腫,乾酪壊死を認め,腸結核と診断した.腸結核はその7割が肺結核等に伴う二次性腸結核であるが,結核菌の証明による確定診断が難しい.肺に結節を伴う腸管病変を認めた際には本疾患を鑑別として考慮する必要がある....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 10; pp. 1878 - 1883
Main Authors 井上, 昌也, 緒方, 諒仁, 菅原, 元, 久留宮, 康浩, 加藤, 健宏, 世古口, 英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1878

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Summary:症例は67歳の男性で,検診にて右肺の結節影を指摘され,当院呼吸器内科へ紹介となった.CTにて多発肺結節影,上行結腸の壁肥厚を認め,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸にスコープ通過不能の全周性狭窄を認めた.組織学的所見は伴わなかったが,多発肺転移を伴う上行結腸癌の診断で腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.病理結果ではLanghans巨細胞を交えた類上皮細胞肉芽腫,乾酪壊死を認め,腸結核と診断した.腸結核はその7割が肺結核等に伴う二次性腸結核であるが,結核菌の証明による確定診断が難しい.肺に結節を伴う腸管病変を認めた際には本疾患を鑑別として考慮する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1878