当院における片頭痛患者の卵円孔開存の頻度に関する検討
「はじめに」卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)とは生後肺循環が始まり, 心房中隔の形成過程で左房圧の上昇により閉鎖する卵円孔が2次中隔に取り残された状態である. 一般人口におけるPFOの有病率は15~35%と報告されているが, 右心房から左心房への右左シャント(right to left shunt:RLs)を起こす最も頻度の高い原因であり, 安静時またはValsalva負荷時にRLsを生じうる. PFOと片頭痛との関連性に関しては過去に報告がなされている. 双方の関連性を支持する明確な機序は明らかではないが, PFOを介したRLsにより静脈系からの代謝物質が無症候...
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Published in | Neurosonology Vol. 29; no. 1; pp. 8 - 12 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本脳神経超音波学会
2016
日本脳神経超音波学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0917-074X |
DOI | 10.2301/neurosonology.29.8 |
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Summary: | 「はじめに」卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)とは生後肺循環が始まり, 心房中隔の形成過程で左房圧の上昇により閉鎖する卵円孔が2次中隔に取り残された状態である. 一般人口におけるPFOの有病率は15~35%と報告されているが, 右心房から左心房への右左シャント(right to left shunt:RLs)を起こす最も頻度の高い原因であり, 安静時またはValsalva負荷時にRLsを生じうる. PFOと片頭痛との関連性に関しては過去に報告がなされている. 双方の関連性を支持する明確な機序は明らかではないが, PFOを介したRLsにより静脈系からの代謝物質が無症候性脳塞栓症を起こし, 三叉神経や脳血管系を刺激して片頭痛発作を起こす可能性が報告されている. 前兆のある片頭痛患者のPFO合併率は40~70%と高頻度に報告されている. 一方, 前兆のない片頭痛とPFOとの関連性に関しては報告により異なる. |
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ISSN: | 0917-074X |
DOI: | 10.2301/neurosonology.29.8 |