骨盤臓器脱に対する治療とそのエビデンス

骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)は膣から骨盤内臓器が下垂,脱出してくる疾患であり,中高年女性のQOLを悪化させる.本稿ではPOPのコンセプトに続き,手術療法を中心に,膣尖部固定術以降の論文を概観した.欧米と日本では,最近の経腟メッシュ手術について状況が異なるが,日本での術式に関連する論文を取り上げた.国内では,現在,メッシュを用いない従来法(native tissue repair:NTR),経腟メッシュ手術(tension-free vaginal mesh:TVM),腹腔鏡下仙骨膣固定術(laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)が行...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 2; pp. 209 - 220
Main Author 竹山, 政美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.209

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Summary:骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)は膣から骨盤内臓器が下垂,脱出してくる疾患であり,中高年女性のQOLを悪化させる.本稿ではPOPのコンセプトに続き,手術療法を中心に,膣尖部固定術以降の論文を概観した.欧米と日本では,最近の経腟メッシュ手術について状況が異なるが,日本での術式に関連する論文を取り上げた.国内では,現在,メッシュを用いない従来法(native tissue repair:NTR),経腟メッシュ手術(tension-free vaginal mesh:TVM),腹腔鏡下仙骨膣固定術(laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)が行われている.NTRとしては子宮摘出と膣尖部を吊り上げる術式が行われているが再発率が高い.TVMにはメッシュ特有の合併症,メッシュ露出や疼痛の問題があり,欧米では行われなくなっている.国内ではpoly-tetra-fluoro-ethyleneメッシュが使用できるが未だエビデンスがない.LSCにはコンセプトの異なるフランス式とアメリカ式の術式があり,日本では主にフランス式術式が行われている.総じて日本での治療はエビデンスに乏しい.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.209