潜在性に通常型胆嚢癌を合併したintracholecystic papillary neoplasmの1例

85歳の女性.入院時肝障害を指摘.腹部USで胆嚢体部から底部にかけて著明な壁肥厚とRokitansky-Aschoff sinus(RAS)のびまん性増生を認め,底部に15mm大の細い茎をもったポリープを認めた.腹部造影CTでは,壁肥厚部に斑状の淡い染まりを認めたが,肝浸潤像はなかった.胆嚢癌の併存も否定できないため,No12cのリンパ節切除と腹腔鏡下胆嚢全層切除を施行した.病理組織診断は,体部粘膜は広範囲に不整な肥厚を伴っており,粘膜から一部漿膜下へ浸潤する腺癌を認め,tub1,pT2,pN0,pEM0,pCM0,stage IIと診断した.隆起病変は,ICPNと診断したが,両者の病変に連続...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 12; pp. 1918 - 1925
Main Authors 平田, 晃弘, 松原, 長秀, 木原, 直貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1918

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Summary:85歳の女性.入院時肝障害を指摘.腹部USで胆嚢体部から底部にかけて著明な壁肥厚とRokitansky-Aschoff sinus(RAS)のびまん性増生を認め,底部に15mm大の細い茎をもったポリープを認めた.腹部造影CTでは,壁肥厚部に斑状の淡い染まりを認めたが,肝浸潤像はなかった.胆嚢癌の併存も否定できないため,No12cのリンパ節切除と腹腔鏡下胆嚢全層切除を施行した.病理組織診断は,体部粘膜は広範囲に不整な肥厚を伴っており,粘膜から一部漿膜下へ浸潤する腺癌を認め,tub1,pT2,pN0,pEM0,pCM0,stage IIと診断した.隆起病変は,ICPNと診断したが,両者の病変に連続性はなかった.隆起性病変部の粘液形質は,MUC1・MUC5AC・MUC6陽性,MUC2陰性で胃型+胆膵型混在のICPNと診断したが,癌部の粘液形質パターンとは異なった.Ki-67とp53は,ICPNより癌部で高発現していた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1918