A-14. t-PA治療が奏功した, 卵円孔開存症に伴う奇異性脳塞栓症と診断した49歳女性例

「症例」: 49歳, 女性. 「主訴」: 意識障害, 左半身の脱力. 「現病歴」: X-2日までドイツにおり, 航空機にて帰国する際両下肢ふくらはぎの深部に疼痛を自覚した. 疼痛は次第に増強したが, 翌日には症状は消失した. X日, 起床後階段を下りようとして左半身の脱力に気付き, 救急外来を受診した. 左片麻痺と左半身の感覚障害を認め, NIHSSは11点, 頭部MRIにて右MCA領域の急性期脳梗塞と診断した. 発症2.5時間でt-PA治療を施行し, NIHSSは1点と改善した. アテローム性変化に乏しく, 心房細動や心疾患, 凝固線溶系異常や免疫学的異常も認めず, 病歴, 発症様式ならびに...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 7; p. 891
Main Authors 吾妻, 玲欧, 高橋, 真, 織茂, 智之, 金子, 裕嗣, 稲葉, 彰, 杉本, 恒明, 北薗, 久雄, 平田, 浩聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.891

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Summary:「症例」: 49歳, 女性. 「主訴」: 意識障害, 左半身の脱力. 「現病歴」: X-2日までドイツにおり, 航空機にて帰国する際両下肢ふくらはぎの深部に疼痛を自覚した. 疼痛は次第に増強したが, 翌日には症状は消失した. X日, 起床後階段を下りようとして左半身の脱力に気付き, 救急外来を受診した. 左片麻痺と左半身の感覚障害を認め, NIHSSは11点, 頭部MRIにて右MCA領域の急性期脳梗塞と診断した. 発症2.5時間でt-PA治療を施行し, NIHSSは1点と改善した. アテローム性変化に乏しく, 心房細動や心疾患, 凝固線溶系異常や免疫学的異常も認めず, 病歴, 発症様式ならびに脳梗塞の部位, 形態から奇異性脳塞栓症を疑った. 下肢静脈エコーでは血栓は認めなかったものの, 経食道心エコーにて心房中隔に右左シャントを認めたことから, 卵円孔開存症に伴う奇異性脳塞栓症と診断した. 二次予防としてワルファリンによる抗凝固療法を行い退院とした. 「考察」: 卵円孔開存症の有病率は25%程度と高頻度であることが報告されており, 原因不明の脳梗塞の原因として卵円孔開存症の頻度が高いことも知られている. 二次予防にはアテローム性脳梗塞やラクナ梗塞とは異なり, 抗凝固療法が必要となるため, 明らかな原因を認めない脳梗塞, 特に若年性の脳梗塞の場合には経食道心エコーの施行を検討する必要があると思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.891