広範囲脊椎硬膜外膿瘍に伴う四肢麻痺に対し,手術を行った1例

【要旨】広範囲脊椎硬膜外膿瘍に伴う四肢麻痺に対し,手術を行った1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.入院5日前からの発熱,2日前からの後頚部痛,四肢の痺れ,歩行困難を主訴に救急搬送され,入院となった.入院当日,上下肢筋力はMMT 4程度であったが尿閉のため尿道カテーテル留置した.入院時のMRIでC1~2高位の頚髄腹側硬膜外にT1WIで筋肉と等信号,T2WIで低・高信号域が混在する腫瘤性病変,またL3/4,L4/5高位の右側傍脊柱の軟部組織,脊柱管内硬膜外にT2WIで不均一な高信号域を認め,広範囲に及ぶ硬膜外膿瘍を疑い,抗菌薬投与を開始した.入院2日目朝に上肢MMT 3~4,下肢MMT...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 4; pp. 755 - 759
Main Authors 知念, 修子, 新垣, 寛, 伊波, 優輝, 仲間, 靖, 知念, 弘, 西田, 康太郎, 金城, 英樹, 野原, 博和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.755

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Summary:【要旨】広範囲脊椎硬膜外膿瘍に伴う四肢麻痺に対し,手術を行った1例を経験したので報告する.症例は60歳男性.入院5日前からの発熱,2日前からの後頚部痛,四肢の痺れ,歩行困難を主訴に救急搬送され,入院となった.入院当日,上下肢筋力はMMT 4程度であったが尿閉のため尿道カテーテル留置した.入院時のMRIでC1~2高位の頚髄腹側硬膜外にT1WIで筋肉と等信号,T2WIで低・高信号域が混在する腫瘤性病変,またL3/4,L4/5高位の右側傍脊柱の軟部組織,脊柱管内硬膜外にT2WIで不均一な高信号域を認め,広範囲に及ぶ硬膜外膿瘍を疑い,抗菌薬投与を開始した.入院2日目朝に上肢MMT 3~4,下肢MMT 2~3と低下,夕には上下肢共にMMT 2程度に四肢麻痺が進行し,呼吸困難となったため,入院3日目にC1後弓切除とC2~3の椎弓切除術を行った.術翌日より上肢下肢MMTは4に回復し,呼吸困難も消失した.抗菌薬投与で膿瘍は縮小,リハビリテーションを継続し独歩可能となった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.755