盲腸周囲ヘルニアによる絞扼性腸閉塞の1例

腸閉塞の原因としてもっとも多いものは開腹術後の癒着であり,その原因の約60%とされる。しかし,開腹歴のある絞扼性腸閉塞でも,その原因が癒着でなく盲腸周囲ヘルニアによるものがある。今回この1例を経験した。症例は子宮全摘後の73歳女性。腹痛と嘔吐がありCTで右下腹部に小腸集簇像を認めた。術後癒着による絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を行った。開腹すると盲腸外側に裂孔があり,そこに小腸が嵌頓していた。嵌頓を整復したところ,この裂孔から右傍結腸溝へ続くヘルニア囊があり,外側型盲腸周囲ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断した。腸管壊死はなく,ヘルニア囊を切開,開放し手術を終了した。術後にCTを再検討すると,盲腸...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 465 - 467
Main Authors 髙見, 拓矢, 内藤, 雅人, 堀, 佑太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.465

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Summary:腸閉塞の原因としてもっとも多いものは開腹術後の癒着であり,その原因の約60%とされる。しかし,開腹歴のある絞扼性腸閉塞でも,その原因が癒着でなく盲腸周囲ヘルニアによるものがある。今回この1例を経験した。症例は子宮全摘後の73歳女性。腹痛と嘔吐がありCTで右下腹部に小腸集簇像を認めた。術後癒着による絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を行った。開腹すると盲腸外側に裂孔があり,そこに小腸が嵌頓していた。嵌頓を整復したところ,この裂孔から右傍結腸溝へ続くヘルニア囊があり,外側型盲腸周囲ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断した。腸管壊死はなく,ヘルニア囊を切開,開放し手術を終了した。術後にCTを再検討すると,盲腸背側の小腸集簇像により,盲腸から上行結腸が内側,腹側へ変位した所見があった。この特徴的なCT所見があれば,絞扼性腸閉塞の原因を癒着と断定せず,盲腸周囲ヘルニアを考えて手術に臨むべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.465