「心不全」と「心不全患者」

主要死因別死亡率で, 心疾患は悪性新生物につぐ第二位の死因である. 日本人の63.5%が80歳以上で死亡している(平成29年)が, 心疾患の年齢別死亡者数は, 80歳代にピークがあり, 人生の最晩年を心疾患とともに過ごしている人は少なくない. 心疾患による死亡の半分以上は, 心不全が原因と考えられ, その心不全患者数は増加していて, 感染症になぞらえて, 「心不全パンデミック」と表現されるほどである. 心不全患者が増加すれば, 心疾患による死亡者数も増加する可能性が高く, 心不全の予防や治療は日本人, 特に高齢者の健康にとって, 喫緊の問題である. 心不全治療の発展には驚くべきものがあるが,...

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Published inShinzo Vol. 51; no. 5; pp. 459 - 460
Main Author 渡辺, 昌文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.05.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.459

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Summary:主要死因別死亡率で, 心疾患は悪性新生物につぐ第二位の死因である. 日本人の63.5%が80歳以上で死亡している(平成29年)が, 心疾患の年齢別死亡者数は, 80歳代にピークがあり, 人生の最晩年を心疾患とともに過ごしている人は少なくない. 心疾患による死亡の半分以上は, 心不全が原因と考えられ, その心不全患者数は増加していて, 感染症になぞらえて, 「心不全パンデミック」と表現されるほどである. 心不全患者が増加すれば, 心疾患による死亡者数も増加する可能性が高く, 心不全の予防や治療は日本人, 特に高齢者の健康にとって, 喫緊の問題である. 心不全治療の発展には驚くべきものがあるが, 心不全患者の予後を改善するのは容易ではない. 再生医療・遺伝子医療・AIや遠隔診療への期待は大きいが, 現実的には, ステージAやBの高齢者以前の世代で, 心不全の原因疾患の予防と治療が重要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.459