先天性小腸狭窄症に対するバイパス術後に発生した腸石により腸閉塞を引き起こした盲端症候群の1例

51歳女性。先天性小腸狭窄症に対して生後2日目に手術を受けた既往がある。43歳から腸閉塞を繰り返し,腹痛を主訴に当院を受診した。CT検査で4個の高濃度石灰化像を内包する囊状の拡張腸管がみられ,同部位より口側の腸管に拡張がみられた。Meckel憩室あるいは重複腸管を疑い手術を施行した。術中所見ではバウヒン弁から50cm口側に拡張腸管を認め,先天性小腸狭窄症に対してバイパスした際の腸管吻合部が囊状に拡張したものであることが判明した。囊状の拡張腸管内には3〜4cmの腸石を4個認めた。以上からバイパス吻合部に腸石が嵌頓・脱落し,腸閉塞を繰り返していたと考えられ,吻合部を含めた腸管切除を施行した。術後経...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 555 - 558
Main Authors 大島, 健志, 大端, 考, 林, 善仁, 間, 浩之, 東園, 和哉, 小坂, 隼人, 石松, 久人, 大場, 範行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.555

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Summary:51歳女性。先天性小腸狭窄症に対して生後2日目に手術を受けた既往がある。43歳から腸閉塞を繰り返し,腹痛を主訴に当院を受診した。CT検査で4個の高濃度石灰化像を内包する囊状の拡張腸管がみられ,同部位より口側の腸管に拡張がみられた。Meckel憩室あるいは重複腸管を疑い手術を施行した。術中所見ではバウヒン弁から50cm口側に拡張腸管を認め,先天性小腸狭窄症に対してバイパスした際の腸管吻合部が囊状に拡張したものであることが判明した。囊状の拡張腸管内には3〜4cmの腸石を4個認めた。以上からバイパス吻合部に腸石が嵌頓・脱落し,腸閉塞を繰り返していたと考えられ,吻合部を含めた腸管切除を施行した。術後経過は良好で第6病日に退院した。盲端症候群で発生した腸石に起因する腸閉塞は極めてまれであるため文献的考察を含め報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.555