行動療法における弛緩訓練(行動療法における訓練の問題,<特集>行動療法の訓練)

「1. 問題」 弛緩訓練が恐怖や不安を軽減し, その反応を減弱させることは多くの研究によって明らかにされている. 弛緩訓練の代表的なものにJacobson(1938)の漸進的弛緩法(progressive relaxation)がある. この方法は筋の緊張・弛緩を繰り返しながら, 次第に筋の弛緩した状態を体得していこうとするものであり, その結果として大脳の興奮を下げ, 精神的安静が得られるとされている. この訓練法の特徴としては, 筋弛緩と心理的安静が直接結合すること, 主として骨格筋が対象となっているため, 随意的に制御することが可能であることなどが挙げられる. Wolpe(1958)は不...

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Published in行動療法研究 Vol. 3; no. 2; pp. 61 - 67
Main Authors 佐野, 秀樹, 森住, 宜司, 小玉, 正博, 沢崎, 達夫, 原野, 広太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.03.1978
日本行動療法学会
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.3.2_61

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Summary:「1. 問題」 弛緩訓練が恐怖や不安を軽減し, その反応を減弱させることは多くの研究によって明らかにされている. 弛緩訓練の代表的なものにJacobson(1938)の漸進的弛緩法(progressive relaxation)がある. この方法は筋の緊張・弛緩を繰り返しながら, 次第に筋の弛緩した状態を体得していこうとするものであり, その結果として大脳の興奮を下げ, 精神的安静が得られるとされている. この訓練法の特徴としては, 筋弛緩と心理的安静が直接結合すること, 主として骨格筋が対象となっているため, 随意的に制御することが可能であることなどが挙げられる. Wolpe(1958)は不安や恐怖を軽減させるため, 拮抗制止法(reciprocal inhibition)〔一般には逆制止と訳されているが, 拮抗制止の方がより適訳であろう〕を提唱したが, この方法にJacobsonは簡略化した漸進的弛緩法を導入した. その理論的基礎は, 不安喚起刺激が存在する時, 不安に拮抗する反応が不安反応を完全に, あるいは部分的に抑制するよう随伴して生ずれば, この刺激と不安反応の結合は弱められるというものである. Wolpeの拮抗制止法はネコを用いた実験神経症の消去の研究にその端を発している.
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.3.2_61