異時性壁内転移を認めた直腸癌の1例
症例は83歳,男性.2019年7月,便通障害を主訴に当院を受診した.大腸内視鏡検査で直腸S状部に4cm大の2型腫瘍を認め,造影CTでは下腸間膜静脈腫瘍塞栓を認めた.直腸癌 T3N2bM0 Stage III cに対して,2019年10月にロボット支援腹腔鏡下Hartmann手術を施行した.術後1年目のPET-CTで残存直腸にFDG集積を認め,再発・転移が疑われた.大腸内視鏡検査で断端から離れた肛門側に1型腫瘍を認め,生検はtub2であった.2020年11月に開腹残存直腸切除術を施行した.腫瘍は口側断端から1.5cm肛門側に位置していた.病理診断では腫瘍は粘膜下主体で存在し,腫瘍細胞の組織像が先...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 10; pp. 1891 - 1897 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2021
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.82.1891 |
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Summary: | 症例は83歳,男性.2019年7月,便通障害を主訴に当院を受診した.大腸内視鏡検査で直腸S状部に4cm大の2型腫瘍を認め,造影CTでは下腸間膜静脈腫瘍塞栓を認めた.直腸癌 T3N2bM0 Stage III cに対して,2019年10月にロボット支援腹腔鏡下Hartmann手術を施行した.術後1年目のPET-CTで残存直腸にFDG集積を認め,再発・転移が疑われた.大腸内視鏡検査で断端から離れた肛門側に1型腫瘍を認め,生検はtub2であった.2020年11月に開腹残存直腸切除術を施行した.腫瘍は口側断端から1.5cm肛門側に位置していた.病理診断では腫瘍は粘膜下主体で存在し,腫瘍細胞の組織像が先回の腫瘍に類似していたため,直腸癌の壁内転移と診断した.下腸間膜静脈腫瘍塞栓を伴った直腸癌から異時性に壁内転移をきたした症例は稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.82.1891 |