A-18. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症への肺動脈バルーン拡張術の治療における血行動態と心臓MRIの検討

我々は23例の肺高血圧症患者に右心カテーテル(RHC)と3次元心エコーを同時期に行い, 肺血管抵抗(PVR)と右室(RV)・左室(LV)拡張終期容積係数(ED-VI), 右室駆出率(RV-EF)が直線関係にあることを示した(Circ J.2013;77(1):198-206). 今回, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)患者に5度の肺動脈バルーン拡張術(BPA)を行い, 治療過程でRHCと心臓MRIを6セット同時期に行い, BPAでのPVRの改善と両心室の容量変化との関係を解析した. RHCと心臓MRIは6点((1)診断時, (2)内服治療3週後, (3)BPA治療直前, (4)BPA2回...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; p. 992
Main Authors 皆月, 隼, 小室, 一成, 波多野, 将, 村岡, 洋典, 八尾, 厚史, 牧, 尚孝, 稲葉, 俊郎, 今村, 輝彦, 絹川, 弘一郎, 藤野, 剛雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.992

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Summary:我々は23例の肺高血圧症患者に右心カテーテル(RHC)と3次元心エコーを同時期に行い, 肺血管抵抗(PVR)と右室(RV)・左室(LV)拡張終期容積係数(ED-VI), 右室駆出率(RV-EF)が直線関係にあることを示した(Circ J.2013;77(1):198-206). 今回, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)患者に5度の肺動脈バルーン拡張術(BPA)を行い, 治療過程でRHCと心臓MRIを6セット同時期に行い, BPAでのPVRの改善と両心室の容量変化との関係を解析した. RHCと心臓MRIは6点((1)診断時, (2)内服治療3週後, (3)BPA治療直前, (4)BPA2回治療後, (5)BPA3回治療後, (6)BPA5回治療8カ月後)で評価した. BPA前の内服治療(ボセンタン, タダラフィル2剤併用)でPVR(dyne・sec/cm5)は低下し(1481→941), RV-EFも上昇したが(20→30%), それ以上の改善を認めなかった. BPA2-3回後にPVRはさらに低下するも(818→513)RV-EFは不変(43→40%)だったが, BPA5回治療後8カ月の慢性期にPVRは442まで低下し, RV-EFは57%へ改善した. その他, 治療経過でLV-EFは変化しなかったが, PVR低下と共にRV-EDVIと右室収縮終期容積係数(RV-ESVI)は直線的に低下し, それに応じてLV-EDVIも直線的に増加した. 以前の報告で収縮期と拡張期それぞれの右室/左室容量比をsystolic/diastolic remodeling indexと定義したが, RV-ESVI/LV-ESVI, RV-EDVI/LV-EDVIとも, PVR改善と最も強い直線関係にあった(r=0.93, r=0.98). 今回の検討で心臓MRIでの回復を見ることが, CTEPH患者における臨床的な病態改善の正確な評価につながると思われたため, 報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.992