A-7. 急性大動脈解離に対し弓部置換術後, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪に対し肺動脈内膜摘除術を施行した1例

急性大動脈解離に対して弓部置換術施行後, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪に対して肺動脈内膜摘除術を施行し救命した症例を経験したので報告する. 68歳女性, 15年前より慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対して内服治療, 在宅酸素療法にて加療されていた. 14年前に肺動脈造影検査, 右心カテーテル検査を施行し手術適応としたが最終的に患者が手術を希望しなかった. 今年3月に突然の胸背部痛を訴え当院救急外来受診, 造影CT検査でStanford Aの急性大動脈解離の診断となり上行弓部置換術を施行した. 術前のスワンガンツカテーテルにて肺動脈圧は79/34(45)mmHg, 肺血管抵抗値は468dyn.s....

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; p. 965
Main Authors 田村, 友作, 阿部, 真一郎, 石坂, 透, 黄野, 皓木, 渡邊, 倫子, 深澤, 万歓, 石田, 敬一, 松宮, 護郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.965

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Summary:急性大動脈解離に対して弓部置換術施行後, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪に対して肺動脈内膜摘除術を施行し救命した症例を経験したので報告する. 68歳女性, 15年前より慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対して内服治療, 在宅酸素療法にて加療されていた. 14年前に肺動脈造影検査, 右心カテーテル検査を施行し手術適応としたが最終的に患者が手術を希望しなかった. 今年3月に突然の胸背部痛を訴え当院救急外来受診, 造影CT検査でStanford Aの急性大動脈解離の診断となり上行弓部置換術を施行した. 術前のスワンガンツカテーテルにて肺動脈圧は79/34(45)mmHg, 肺血管抵抗値は468dyn.s.cm-5であった. 術後人工心肺を離脱せずvaECMOを導入しICU帰室した. 術後5日目にEC-MO離脱を試みたが肺動脈圧と体血圧が等圧となり離脱できなかった. 術後6日目に肺動脈造影検査を施行したところ, 術前造影CT検査で認めなかった血栓を両側主肺動脈に認めたため, 術後8日目に肺動脈内膜摘除術を施行した. 遺残肺高血圧症を合併したものの人工心肺から直接離脱しICU帰室した. 術前より腎機能障害を合併していたためCHDFを導入しdry side管理とすることで術後3日目に抜管した. しかしながら左横隔神経麻痺, 肺炎のため横隔膜縫縮術, 気管切開を施行した. 廃用症候群に対するリハビリに時間を要したが徐々に状態は改善し術後4カ月後に自宅退院となった. 重度の循環不全により補助体外循環を必要とした慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対しても肺動脈内膜摘除術は救命を可能とする効果的な治療法であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.965