A-14. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるThrombin Activated Fibrinolysis Inhibitorの関与

背景:慢性血栓塞栓性肺高血圧症は肺動脈内に器質化血栓を生じ, 肺高血圧症を呈する疾患である. しかしながら, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の病因は未だ不明な所が多い. Thrombin Activated Fibtinolysis Inhibitor(TAFI)はフィブリン塊上のリジン残基を切除し, 線溶系に対して血栓を抵抗性にするカルボキシペプチダーゼの1つである. 今回, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の血栓が線溶系に抵抗性を示し, TAFIが関与しているかどうか調べた. 方法:当科に入院し, 右心カテーテルを行った非肺高血圧症患者(19人), 肺動脈性肺高血圧症患者(22人), 慢性血栓塞栓性...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; p. 985
Main Authors 河村, 剛至, 矢尾板, 信裕, 堀内, 久徳, 杉村, 宏一郎, 福本, 義弘, 下川, 宏明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.985

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Summary:背景:慢性血栓塞栓性肺高血圧症は肺動脈内に器質化血栓を生じ, 肺高血圧症を呈する疾患である. しかしながら, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の病因は未だ不明な所が多い. Thrombin Activated Fibtinolysis Inhibitor(TAFI)はフィブリン塊上のリジン残基を切除し, 線溶系に対して血栓を抵抗性にするカルボキシペプチダーゼの1つである. 今回, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の血栓が線溶系に抵抗性を示し, TAFIが関与しているかどうか調べた. 方法:当科に入院し, 右心カテーテルを行った非肺高血圧症患者(19人), 肺動脈性肺高血圧症患者(22人), 慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者(27人)を対象とした. 肺動脈から採血し, 赤色血栓を作成した. 赤色血栓にウロキナーゼ(10U/mL)またはモンテプラーゼ(100ng/mL)を加え, 血栓消失率を測定した. 次に, 血漿を分離し, トロンビン(2.5U/mL), モンテプラーゼ(500ng/mL)を加え, 血栓消失時間を測定した. また, 血小板を単離し, トロンビン(0.5U/mL)で刺激して血小板から放出されるTAFIの抗原量を測定した. 結果:モンテプラーゼにおける血栓消失率は非肺高血圧患者, 肺動脈性肺高血圧患者よりも慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者で有意に低かった. 血漿の血栓消失時間は非肺高血圧患者, 肺動脈性肺高血圧患者よりも慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者で延長する傾向が認められた. 一方, 血漿中のTAFIは非肺高血圧患者, 肺動脈性肺高血圧患者よりも慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者で有意に高値であった. また, 血小板から放出されるTAFIの抗原量も非肺高血圧患者, 肺動脈性肺高血圧患者よりも慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者で有意に増加していた. 活性化TAFI阻害薬により有意に慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の血栓消失率が改善した. 考察:慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の血栓は線溶抵抗性になっており, その線溶抵抗性の1つにTAFIが関与している可能性が示された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.985