人工骨頭置換術でのステム過前捻設置により坐骨大腿骨インピンジメントを発症した一例

坐骨大腿骨インピンジメント(IFI)は,従来骨形態によるものと考えられていたが,人工股関節全置換術(THA)後の患者でも発症することが報告されている.人工骨頭置換術(BHA)後にIFIを呈し,THAで治療し得た1例を報告する.74歳女性.左大腿骨頚部骨折に対しBHA施行.痛み,歩行時痛が持続した.CTで左の坐骨大腿骨間距離(IFS)の短縮,ステムの過前捻設置が示された.症状が持続し,BHA術後23カ月でTHA施行.ステムは変更せず,ネックを伸ばしカップを設置した.術後CTで,左IFSは延長し,症状が改善した.IFIはIFSの短縮に,股関節の動きが加わり発症する.今回BHAでIFSが短縮しIFI...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 4; pp. 704 - 707
Main Authors 平岡, 弘二, 岡崎, 真悟, 北川, 光, 神保, 幸太郎, 赤塚, 孝太, 岡部, 成倫, 脇田, 将嗣, 草場, 宣宏, 戸次, 将史, 井手, 洋平, 森山, 弘朗, 原口, 敏昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.704

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Summary:坐骨大腿骨インピンジメント(IFI)は,従来骨形態によるものと考えられていたが,人工股関節全置換術(THA)後の患者でも発症することが報告されている.人工骨頭置換術(BHA)後にIFIを呈し,THAで治療し得た1例を報告する.74歳女性.左大腿骨頚部骨折に対しBHA施行.痛み,歩行時痛が持続した.CTで左の坐骨大腿骨間距離(IFS)の短縮,ステムの過前捻設置が示された.症状が持続し,BHA術後23カ月でTHA施行.ステムは変更せず,ネックを伸ばしカップを設置した.術後CTで,左IFSは延長し,症状が改善した.IFIはIFSの短縮に,股関節の動きが加わり発症する.今回BHAでIFSが短縮しIFIの静的因子となった.その主な原因は,ステム過前捻設置により小転子が後方へシフトしたことが考えられた.BHAのステム過前捻設置に注意を要する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.704