鼠径部ヘルニア嵌頓症例における小腸虚血に関する術前予測因子の検討
嵌頓性鼠径部ヘルニアにおける腸管壊死の有無は術式や経過にかかわる重要な所見である。2008年1月から2018年3月に当院で小腸が嵌頓し緊急手術を施行した39例を,腸切除群22例と非切除群17例に分類し,臨床的特徴を後方視的に比較検討した。受診時に鼠径部局所の圧痛や発赤を認めた症例は,切除群12例(54.5%),非切除群3例(17.6%)と切除群で有意に多かった。嵌頓小腸内容CT値は,切除群19.3±9.5 HU,非切除群11.4±5.7 HUと切除群で有意に高く,ROC曲線によるCut Off値は15.0 HUであった。鼠径部局所所見と嵌頓小腸内容CT値が15.0 HU以上の2因子とも合致した...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 437 - 442 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.03.2020
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.40.437 |
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Summary: | 嵌頓性鼠径部ヘルニアにおける腸管壊死の有無は術式や経過にかかわる重要な所見である。2008年1月から2018年3月に当院で小腸が嵌頓し緊急手術を施行した39例を,腸切除群22例と非切除群17例に分類し,臨床的特徴を後方視的に比較検討した。受診時に鼠径部局所の圧痛や発赤を認めた症例は,切除群12例(54.5%),非切除群3例(17.6%)と切除群で有意に多かった。嵌頓小腸内容CT値は,切除群19.3±9.5 HU,非切除群11.4±5.7 HUと切除群で有意に高く,ROC曲線によるCut Off値は15.0 HUであった。鼠径部局所所見と嵌頓小腸内容CT値が15.0 HU以上の2因子とも合致した7症例はすべて切除群であった。手術成績はメッシュ使用例と手術時間,在院期間の項目で2群間に有意差を認めた。局所所見が強く,かつ,嵌頓小腸内容CT値が高い症例は小腸切除を要する可能性が高いと考える。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.40.437 |